5億円希望の国宝刀、購入へネットで資金集め

  • 山鳥の羽毛のような刃文が特徴の国宝「山鳥毛」(2017年5月、岡山県立博物館で)
    山鳥の羽毛のような刃文が特徴の国宝「山鳥毛」(2017年5月、岡山県立博物館で)

 備前刀の一大産地だった岡山県瀬戸内市が、戦国武将の上杉謙信や上杉景勝の愛刀とされる国宝の「太刀 無銘一文字(山鳥毛)」の購入に向けて動き始めた。数年前から県内在住の所有者が手放す意向を示しているが、5億円での売却を希望。市では、今月中に文化財や刀剣に詳しい専門家ら5人で構成する評価委員会を2回開き、太刀の資産価値や売却希望額が妥当かを見極めた上で、資金調達に乗り出す。

 文化庁によると、山鳥毛は鎌倉時代に備前地方で作られたとされ、刃長は79センチ。1952年に国宝に指定された。名前の由来には、刃文が山鳥の羽毛に似ているからとの説があるものの、定かではない。読みは「やまとりげ」だが、通称の「さんちょうもう」で親しまれている。

 山鳥毛を巡っては、2016年8月、上杉謙信ゆかりの新潟県上越市が購入を目指し、同市が識者3人の鑑定で3億2000万円と評価したのに対し、「手取りで5億円」を希望する所有者と折り合わず、17年11月に断念。同市は購入のために、ふるさと納税や寄付金で約7300万円を集めていたため、返金希望のあった約1100万円を今年3月に返したという。

 瀬戸内市では、「一般財源の充当は考えていない」とし、インターネットを通じて寄付を集めるふるさと納税型クラウドファンディング(CF)を活用するという。評価委員会の結果を受けて、8月からCFをスタートさせたい考えだが、賛同者への返礼品を考えると5億円では済まず、武久顕也市長は「相当頑張らないといけない」。提示額によっては、所有者が受け入れない可能性もあり、国宝購入に向けた課題は少なくない。

 とはいえ、備前刀の最高傑作ともいわれる名刀。武久市長は「山鳥毛だけでなく、保管予定の備前長船刀剣博物館の改修も考えている。製造された地で見てもらうことで、技術の伝承にもつながると思う。CFを通じて広く訴えていきたい」と話している。(水原靖)

2018年6月14日11:29 Copyright © The Yomiuri Shimbun