値段2倍でも…高級食パン専門店、名古屋で活況

  • 焼き上がりの時間にあわせて食パンを受け取る客(名古屋市中区で)=原田拓未撮影
    焼き上がりの時間にあわせて食パンを受け取る客(名古屋市中区で)=原田拓未撮影

 名古屋市内で高級食パン専門店の開店が相次いでいる。

 読売新聞の取材では、この1年間に少なくとも5店がオープン。食パン1斤当たりの値段はスーパーなどの倍以上するが、予約販売で売り切れるなど活況を呈している。

 「毎朝、欠かせないものなので、せっかくならいいものを選びたい」。昨年11月にオープンした同市中区栄の「フルール ドゥ リュクス伏見店」で、高級食パンを予約購入した同市千種区の主婦(45)は「食卓の必需品であり、友達にプレゼントしても喜ばれます」と話す。

 同店の食パンは1本(2斤分)864円で、もっちりした食感が特長という。和菓子店が運営しており、営業本部長の中島健一さん(47)は「経営多角化の一環。北海道産のいい強力粉が手に入るので、食パンづくりに乗り出した」と明かす。近く中区内に2号店をオープンさせる予定だ。

 昨年12月、千種区覚王山通に開店した「最高級食パン専門店 い志かわ」は、1本(2斤分)1000円。「究極の単品経営に戦略を絞った。単品だからこそ最高級の演出が必要」とし、ショートニングなどを使わず、「離乳食にもできるパン」と売り込む。

 昨年3月オープンの同区千種の「よいことパン」は、1斤540円で販売。製粉会社が母体で、取締役の箕形みかた亮さん(28)は「食パンはシンプルなだけに、原材料の味が出やすい。徹底して原料や製法にこだわり、砂糖の代わりにみりん、バターの代わりにビタミンや抗酸化物質を豊富に含んだ太白ごま油を使っている」と強調する。リピーターも増えているといい、他県への出店も検討中だ。

 このほか、名古屋市北区金城町に「北海道香熟パン極み」、同市昭和区広路町梅園に「パンのトラ八事店」が開店している。

 ◆ブランド志向人気後押し?

 総務省の家計調査によると、名古屋市の食パンの年間消費額は1世帯あたり1万338円(2013~15年平均)で、全国の政令市・県庁所在地で9位。さらに、喫茶店でパンとコーヒーのセットを朝食にする習慣も定着している。

 愛知県内でパン屋を一堂に集めたイベントを手がける「パンマルシェ実行委員会」の石臥いしぶし博代委員長は「地域に根づいた『モーニング文化』に加え、名古屋人のブランド志向の気質が、高級食パン専門店の人気を後押ししているのでは」と分析している。(八木さゆり)

2017年03月21日 07時52分 Copyright © The Yomiuri Shimbun