水力発電所、54年ぶり復活…村活性化へ住民ら

  • 半世紀ぶりに復活した「つくばね発電所」。105メートルの落差を利用して発電する(奈良県東吉野村で)
    半世紀ぶりに復活した「つくばね発電所」。105メートルの落差を利用して発電する(奈良県東吉野村で)

 奈良県東吉野村おむらの山間部で、かつて林業や地域の生活を支えた水力発電所「つくばね発電所」を、住民らが54年ぶりに復活させた。

 売電によって収益を上げ、地域の活性化に役立てていくという。

 旧つくばね発電所は1914年(大正3年)、高見川支流の日裏川から取水し運転を開始。最大出力45キロ・ワットと小規模ながら、63年(昭和38年)に老朽化で廃止されるまで、製材業の近代化を支えた。

 川の上流に設けられた当時の取水口などが残っており、国が新エネルギーとして促進する小水力発電所を建設しようと、2014年秋、住民らが新会社「東吉野水力発電」を設立。電力の小売り事業に参入している市民生活協同組合「ならコープ」の関連会社CWSから出資を受けたほか、1口約3万円の小口出資で5250万円を集めるなどし、2015年6月に着工した。総事業費は約2億1800万円。

 新発電所は最大出力82キロ・ワット。取水口を再利用し、かつてと同じ導水ルート(約1・4キロ)に新たに管を設置。105メートルの落差を利用して水車を回転させ、発電する。水車は小水力発電で実績のあるチェコ製を採用し、7月から発電を開始した。

 年間発電量は約64万キロ・ワット時で、一般家庭約180世帯分を賄えるという。関西電力に売電しており、CWSにも売る計画。発電所は東吉野キャンプ場に近いため、子どもたちに環境学習として施設を見学してもらうとともに、将来は敷地内に木製遊具を設置したいという。

 5日、現地見学会と完成式があり、桜の植樹などを行った。チェコのトマーシュ・ドゥプ特命全権大使も参加し、「両国の友好関係の発展を願っている」と祝った。住民で社長を務める森田康照さん(66)は「100年以上前に発電を始めた先人たちも喜んでくれるだろう。若者が定住する、魅力ある村づくりの新しい息吹にしたい」と喜んだ。(熱田純一)

  • かつてのつくばね発電所=東吉野水力発電提供
    かつてのつくばね発電所=東吉野水力発電提供