業者破産申請・返礼中止…サンマ不漁の影響深刻

  • 最低水準の水揚げ量だった昨年のサンマ漁(2016年9月21日、福島県いわき市の小名浜漁港で)
    最低水準の水揚げ量だった昨年のサンマ漁(2016年9月21日、福島県いわき市の小名浜漁港で)

 近年記録的な不漁に見舞われているサンマ漁が、今年も不調となり、福島県内で唯一サンマを水揚げするいわき市では、各方面に深刻な影響が生じている。

 市内のサンマ買い付け業者は破産を申請。市は昨年に続き、ふるさと納税の返礼品「生サンマ1ケース」を中止するなど、「サンマの街」に動揺が広がっている。

 ■不漁

 県水産課によると、昨年のサンマ漁は全国的に過去40年間で最低水準に低迷した。今年も水揚げ量約6万6184トン(11月20日現在)と、厳しい状態だった昨年の約6割にとどまる。県内でも今季のサンマ水揚げ量は約864トン(同)で、昨年の約1625トンの約5割に過ぎない。

 サンマの漁場が年々遠くなっている上、外国船による乱獲などで資源の枯渇が指摘されている。小名浜漁港は県内唯一のサンマの水揚げ港。小名浜魚市場を運営する小名浜機船底曳網漁協の担当者は、「かつては1隻で100トンを水揚げする船もあったが、今年は多くても60トン程度。サンマ自体も小ぶりだ」と嘆く。市場の買値も3~4割の高値になっている。

 ■企業破産

 企業経営への打撃も深刻だ。東京商工リサーチいわき支店は5日、いわき市小名浜花畑町の鮮魚販売「ト印商店」(比佐安良社長)が、福島地裁いわき支部に自己破産申請したと発表した。事業停止と申請は4日付。負債総額は約5億円に上る。

 同社は1950年創業。サンマの買い付け販売などでピーク時の86年には売上高18億円を計上した。だが、サンマ不漁などで収益が悪化。2016年12月期の売上高は5億3200万円で、多額の債務超過に陥っていたという。

 ■相次ぐ中止

 同漁協は例年、民間業者と協力して小名浜魚市場から生サンマを宅配してきた。ところが、この不漁を受けて今年、初めて宅配を中止する事態に追い込まれた。

 また、いわき市では昨年11月、ふるさと納税の返礼品「生サンマ1ケース」を中止したが、今年も不漁のあおりで再び中止せざるを得なくなった。

 ■特産品も

 生サンマだけでなく、加工品にも影響が広がることが懸念される。市特産「さんまのみりん干し」の製造業者「マルデンタ」では今年、不漁を見越して既に今後1年分のサンマを確保した。みりん干しの製造は12月中旬から本格化する。同社の小野利仁社長(60)は「サンマの価格が高くなっても、お客さんに迷惑はかけられない。今後どうなっていくのか、先行きが見通せない」と困惑している。

2017年12月7日14:24 Copyright © The Yomiuri Shimbun