「乳」の力を探求した100年~森永乳業

経済部 佐伯美保

 牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム、乳幼児向けの粉ミルク、介護食……。ずらりと並んだ161種類の商品写真が目に飛び込んでくる。創業100周年を迎えた森永乳業が9月1日の読売新聞朝刊に掲載した全面広告は、赤ちゃんからお年寄りまで、あらゆる年齢層を対象に様々な商品を取り扱う森永乳業という企業の今を映し出している。

「幸せな100年」を支えた商品

  • 2017年9月1日読売新聞朝刊の全面広告
    2017年9月1日読売新聞朝刊の全面広告

  • 広告を担当した森永乳業の冨沢さん(右)と寺田さん(中央)、マーケティングコミュニケーション部の木下孝史さん(左)
    広告を担当した森永乳業の冨沢さん(右)と寺田さん(中央)、マーケティングコミュニケーション部の木下孝史さん(左)

 「お客様と一番接点があるのは商品。だからこそ、商品そのものに焦点を当てた」。広告を企画したマーケティングコミュニケーション部長の寺田文明さん(56)は狙いをこう説明する。現在、森永乳業が家庭向けに販売する商品は約1000点。乳幼児用の粉ミルクは、乳アレルギーに配慮したものや、吐き戻しをしやすい乳児向けのものなど、商品の幅も広い。高齢者向けの食品も、必要な栄養素や使いやすい容器の形など、消費者の多様なニーズに対応できるよう、様々な種類をそろえている。これらの商品は1日あたり約1000万個のペースで購入されているという。

 広告のコピーには、消費者に伝えたい気持ちをストレートに表現した。「私たちは、こんな幸せな仕事を、100年も続けてこられました。ありがとう」。そこには、商品を愛用してくれる消費者の支えがあったからこそ創業100周年を迎えることができた、との感謝の思いがにじみ出ている。広告掲載後、読者からは「(この商品が)森永乳業のものとは知らなかった」「買ったことのある商品に思わず丸を付けた」といった反響が寄せられたという。

健康のために「乳」の力を探求

  • 森永乳業の育児用ミルク
    森永乳業の育児用ミルク

 森永ミルクキャラメルの練乳を製造する会社として創業した森永乳業は、その後、育児用ミルクの製造に事業領域を拡大した。まずミルクの栄養成分を母乳の成分に近づけることに取り組み、次の段階で、赤ちゃんがより健康に育つための機能性成分の研究に注力した。創業当時から今も変わらない伝統は、健康のために「乳」の力を探求する研究開発への積極的な姿勢だ。

 成果も多い。

 例えば、大腸の炎症を抑え、腸内環境を改善する「ビフィズス菌BB536」は、赤ちゃんの大腸から発見し、ヨーグルトなどの製品として販売した。母乳に含まれる感染防御成分「ラクトフェリン」に着目し、世界で初めてこの成分を配合した乳児用ミルクを作り出した。

 最近では、免疫細胞を活性化させる「シールド乳酸菌」を独自に開発した。無味無臭に近く、食品の風味を損なわないので、ヨーグルトのほか、菓子や総菜、みそ汁、納豆など幅広い食品に添加されている。他社への販売も手がけており、シールド乳酸菌を商品に取り入れた企業は150社を超えたという。広報部長の冨沢俊久さん(56)は、「どのお客様の心にも響くものを作りたい。森永乳業の商品を食べることが、体に良いと思ってもらえるような会社を目指したい」と話す。

  • #056
    #056

 森永乳業は創業100周年を迎えた今年、会社の新しい経営理念を作った。そこにはこう記されている。

 「乳で培った技術を()かし私たちならではの商品をお届けすることで健康で幸せな生活に貢献し豊かな社会をつくる」

 次の100年も思わず笑みがこぼれるような商品を生み出し続ける。そんな期待を抱かせる決意表明だ。

◆森永乳業
 1917年に森永製菓の「森永ミルクキャラメル」に使う練乳を生産する「日本 煉乳 ( れんにゅう ) 」として創業した。森永製菓との合併・分離を経て、1949年に現在の森永乳業が設立された。「森永ミルク」や「森永はぐくみ」など牛乳・乳製品を始めとする様々な食品・飲料の生産・販売を手がける。1975年には子育て中の母親のための育児相談窓口「エンゼル110番」を開設した。子どもの健やかな成長を目的とした活動にも力を入れている。 2017年3月期の売上高は4443億1100万円で、従業員は3035人(3月末時点)。本社は東京都港区。ウェブサイトは こちら

2017年11月16日05:20 Copyright © The Yomiuri Shimbun