「きれい」を未来に~花王

経済部 石黒慎祐

 色とりどりの花の中、笑みを浮かべた女の子を乗せたブランコは弧を描く。おとぎ話の一場面を見ているようで、見ている側も女の子と同様、にっこりさせられた人もいたのではないだろうか。2018年1月1日付の読売新聞朝刊に掲載された花王の広告だ。

  • 2018年1月1日付読売新聞朝刊の全面広告
    2018年1月1日付読売新聞朝刊の全面広告

  • 担当の鶴島さん(右)と江さん
    担当の鶴島さん(右)と江さん

 広告を担当したコーポレート作成部のデザイナー、鶴島大輔さん(46)は、「紙面を広げた時、健やかな『きれいさ』を、感じとってもらいたい」と話す。


清潔や美しさ、健康…花王の考える“きれい”

 花王の新年広告の歴史は古い。確認出来るもので、最も古いものは1958年にさかのぼる。花王の新年広告には、「お客様への年賀状」(同社広報部)という意味合いがあるのだという。

 せっけんや洗剤など生活に身近な日用品を扱うメーカーだけに、日頃、お世話になっている消費者にいち早く新年のあいさつをということだったのだろう。

 そして、近年の広告は、「“きれい”って、しあわせ」というキャッチコピーを冠して、2016年からシリーズ化している。

  • #062
    #062

 「きれい=花王」という企業イメージを定着させるためだ。シャンプーの「メリット」や洗濯洗剤「アタック」など、知名度抜群の商品は数多くある一方、「花王という企業そのものに対するイメージが薄い」(広報部)。広告を通し、花王の考える「きれい」には、清潔や美しさ、健康など様々な価値があることを伝えてきた。

環境保護への取り組みも

 今年の広告には「人と暮らしの“きれい”を。私たちが生きる地球の“きれい”を。未来を生きる子どもたちに手渡していきたい」という文言を添え、環境保護の意味も持たせた。

 広告作成部のコピーライター、江明日香さん(34)は、「自動車メーカーなら、『電気自動車は環境に優しい』など商品とともに強いメッセージを出せるかもしれない。しかし、何げなく使う日用品メーカーの花王らしい語り口で、環境保護に取り組む姿を伝えたかった」と話す。

  • 詰め替え容器を新型の「ラクラクecoパック」に切り替えている
    詰め替え容器を新型の「ラクラクecoパック」に切り替えている

 花王らしい環境保護への取り組みは、商品展開ですでに具体化している。

 花王は16年から順次、シャンプーなどの主力商品の詰め替え容器を新型の「ラクラクecoパック」に切り替えている。新型の容器は、注ぎ口がシャンプーなどの容器にぴったりとはまり、こぼれにくく、握力が弱い子どもや高齢者でも注ぎやすい。使い勝手の良い容器を導入することで、詰め替え容器への切り替えを一層進めようとしており、企業として出来る環境保護を行っている。

 「花王は、歴史の長い企業だけど、広告を通して、未来志向も感じ取ってもらいたい」。鶴島さんと江さんは、きれいという言葉に、「新しさ」という価値も吹き込もうとしている。

◆花王
1887年創業。日用品や化粧品など生活に身近な商品を製造する。特に、シャンプー「メリット」(1970年発売)や赤ちゃん用紙おむつ「メリーズ」(84年発売)などロングセラー商品が多いのも特徴。本社は東京都中央区。2017年12月期の連結売上高は1兆4894億円。連結従業員数は約3万3000人(17年末)。ウェブサイトは こちら

2018年4月19日05:20 Copyright © The Yomiuri Shimbun