自民9条改正案 国民の理解拡大へ議論深めよ

 自民党は、憲法改正を立党以来の党是とし、長年、議論を重ねてきた。拙速な手続きは避けながら、改正内容の論議を着実に深めるべきだ。

 自民党憲法改正推進本部が、改正論議を再開した。自衛隊の明記、緊急事態条項、参院選の合区解消、教育無償化の4項目の議論が2巡目に入った。

 7月の東京都議選での大敗後、憲法改正への慎重論が高まり、党内論議はやや足踏みしていた。

 安倍首相が「経済最優先」を掲げ、憲法改正は「スケジュールありきではない」として、自らは前面に立たずに、自民党に委ねる意向を示したのは妥当だろう。

 自民党はまず、それぞれの改正項目について、しっかりと検討作業を進める必要がある。

 改正推進本部は10月にも、憲法9条関連の改正の条文案を提示する方針だ。年内にも自民党案を策定して、来年の通常国会に提出し、発議する日程も描いている。

 抽象的な議論を繰り返すより、具体的な条文案を示した方が、国民に分かりやすく、建設的な議論ができるはずだ。

 憲法改正のハードルは高い。衆参両院の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成を得ねばならない。

 公明党、日本維新の会などとも協議し、幅広い支持が得られる案をまとめることが大切である。

 国会への提出・発議の時期は、前のめりにならず、他党との調整や世論の動向を踏まえて、冷静に判断することが求められる。

 推進本部の全体会合では、9条1、2項を維持したうえで、自衛隊の根拠規定を追加する首相案を支持する意見が多かった。

 ただ、石破茂・元防衛相らは、戦力不保持を定めた2項の削除や改正を主張した。自衛隊の根拠規定と2項が矛盾しかねないということなどを理由としている。

 憲法改正で論理的な整合性を取る必要性は言うまでもない。2項を削除した方がすっきりするのは確かだが、より多くの賛成を得やすくする努力も重要である。

 優先すべきは、日本の安全保障環境が悪化する中、一部の学者らが自衛隊の存在に違憲の疑いをかけるような異常な事態を極力早期に解消することだろう。

 公明党は最近、憲法改正への慎重論を強めている。公明党が掲げる「加憲」に自民党が歩み寄ることが、国会での多数派の形成に向けて現実的な手段なのは間違いない。自民党は議論を尽くし、きちんと結論を出してもらいたい。