企業中間決算 好業績は人への投資の機会だ

 高い収益を一層の賃上げなど人への投資につなげたい。守りの経営から脱却する時である。

 東京証券取引所上場企業の2017年9月中間決算の発表が山場を越えた。

 1部上場企業全体の売上高は、前年同期比で9%増、最終利益は23%も増えた。最終利益の総額は2期ぶりに過去最高の見込みだ。18年3月期の業績予想を上方修正する企業は300社を超えた。

 円安や海外経済の回復が追い風となり、電機や自動車など外需産業を中心に好調ぶりが際立つ。

 電機大手のソニーは、20年ぶりに営業利益が過去最高となった。テレビ事業の低迷にあえいだソニーの復活は、スマートフォンなどに使う画像センサーの売り上げ増が牽引けんいん役となっている。

 新型ゲーム機の売り上げが好調な任天堂も、18年3月期の営業利益が前期比4倍増の見通しだ。

 強みを持つ技術や製品に磨きをかける戦略が功を奏している。世界競争が激化する中、経営資源を得意分野に集中させるのは、有力な選択肢だろう。

 好業績は、外部要因の円安による部分も大きい。海外で稼いだ利益が円換算で膨らみ、本来の実力を超える好決算も少なくない。

 トヨタ自動車は、18年3月期決算で最終増益の見込みだが、円安の押し上げ効果が、1750億円に上る。この特殊要因を除けば、実質的に減益だという。

 自動車業界は、電気自動車や自動運転車の実用化に向け、大きな技術革新期を迎えている。円安の好機を逃さず、研究開発体制を一段と強化する必要があろう。

 内需関連の企業業績は、もたつきが目立つ。従業員確保のための人件費がかさみ、ヤマトホールディングスは最終赤字だった。

 携帯大手のNTTドコモも営業減益となった。18年3月期に減益を見込む百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスは、早期退職制度を拡充し、1000人規模の追加削減を計画している。

 日本経済を底上げするには、潜在成長力を高める地道な取り組みが不可欠である。

 工場を高度化する設備投資で、生産性を高める。研修の充実など手厚い人材育成で技術革新を促進する。非正規労働者の正社員登用で裾野の広い賃上げを図る。こうした施策で、好業績を起点に投資と消費の好循環を導きたい。

 安倍政権は、3%の賃上げを経済界に求めている。政府も新事業を生み出せるように規制緩和で企業を後押しせねばならない。