大学プレテスト 課題解決力を適切に測れるか

 思考力や表現力を的確に測るのは、容易ではない。受験生の負担に配慮しながら、問題の内容や構成の検証を尽くすことが大切である。

 大学入試センター試験に代わり、2020年度から実施される大学入学共通テストの試行調査(プレテスト)の結果が公表された。全国の国公私立高校の4割にあたる約1900校で、延べ18万人が参加した。

 出題には、苦心の跡がうかがえる。現行のセンター試験との違いを際立たせようとした結果だろう。教科書で扱われないような複数の資料を読み比べて、自ら考える力や課題を解決する力を問う出題が各教科で目立った。

 世界史、日本史は図表や絵画資料を多用した。化学や生物は実験・観察の過程を重視している。暗記偏重になりがちな高校教育の改善を促す効果が期待できよう。

 国語では、文学的な文章だけではなく、生徒会の規約や学校新聞などの実用的な文章から情報を読み取る問題が登場した。実社会でも役立つ読解力の向上を主眼とした点は理解できる。

 マークシートの選択肢から正解を全て選ばせるなど、従来にない出題方式も物理、数学を中心に導入された。当てずっぽうでは通用しにくく、正答率は低迷した。

 大量の文章を読みこなす必要もあったため、結果として難易度は上昇した。50万人が受ける共通テストには、基礎的能力を測る役割がある。どの程度の難易度が適切なのか、見極めが重要となる。

 国語と数学で導入される記述式問題の採点には、不安が残る。民間業者による採点結果のチェック体制に万全を期したい。

 記述式では、大学への出願の際に行う自己採点の在り方も課題だ。文脈の適切さや誤字脱字を受験生が正確に判断できるのか。

 実践的能力が重視される英語のプレテストは、来年2月に先送りされた。実施方針の決定が遅れ、準備が間に合わなかった。

 国立大学は、英検などの民間試験と共通テストの両方を課す方向で足並みをそろえる。具体的な実施方法は未定だ。受験生の負担を軽減する工夫が求められる。

 共通テストの出題の狙いについて、高校への周知が不可欠だ。移行期に受験生が動揺すれば、塾での対策が過熱する恐れがある。

 来秋には各大学を会場に、本番の形式により近いプレテストが行われる。円滑な移行に向けて課題を洗い出し、改革の理念が生きる試験につなげてもらいたい。