対「北」原油制限 日米韓は中国に実施を促せ

 北朝鮮の核・ミサイル問題を外交的に解決するには、徹底した制裁で政策転換を迫るほかない。中国の北朝鮮に対する原油供給の制限は、最も有効な手段である。

 北朝鮮が、「米本土全域を攻撃できる」と主張する新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したことを受けて、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が電話会談した。

 トランプ氏は、「中国が北朝鮮への原油を止めなければいけないところまで来た」と語り、供給停止を要求した。中国の圧力が不十分なことが事態を悪化させている、という認識はもっともだ。

 中国は遼寧省丹東を始点とする全長30キロの地下パイプラインで、年間50万トンの原油を供給する。原油はジェット燃料などに精製され、軍事利用もされている。

 国連安全保障理事会が9月に採択した決議は、北朝鮮へのガソリンなどの輸出に制限を加えたが、原油輸出は「過去1年間の輸出量」を上限とするにとどまった。

 2003年に中国がパイプラインを一時閉鎖した後には、北朝鮮は非核化を巡る対話のテーブルに戻った。核・ミサイル開発に歯止めをかけるため、中国が独自に制裁を強化し、北朝鮮の「生命線」に踏み込むことが欠かせない。

 核・ミサイル開発と米韓合同軍事演習の同時停止を柱とする中露の提案を、北朝鮮は無視した。習氏の特使は、訪朝の成果を上げられなかった。

 融和策が行き詰まっている現実を中国は直視すべきだ。

 北朝鮮が今後、核実験や弾道ミサイル発射を強行した場合、中国が原油供給制限を決断するよう、日米韓は促す必要がある。

 米韓は大規模な合同演習を開始し、航空自衛隊と米軍の戦闘機も日本海上空や沖縄県周辺の空域で共同訓練を行った。日米韓の安全保障協力を強化し、抑止力を高める取り組みが重要である。

 懸念されるのは、米国が腰を据えて北朝鮮との外交を行う態勢が整っていないことだ。

 ティラーソン米国務長官の早期辞任の観測が強まっている。北朝鮮との対話に前向きなティラーソン氏と、否定的なトランプ氏の溝はこれまでも浮き彫りになっていた。東アジア・太平洋担当の国務次官補の不在は看過できない。

 トランプ氏のアジア歴訪でも、国務省の影は薄かった。米政権は早期に混乱を収拾し、外交と軍事を有効に組み合わせた北朝鮮戦略を構築しなければならない。