仮想通貨 お金とは言えぬ投機の対象だ

 価値が乱高下し、買い物の支払い手段としてより、値上がり益を期待する投機対象としての側面が増している。普及の促進に軸足を置いた金融庁の政策方針が問われよう。

 仮想通貨を巡る混乱が相次ぐ。ハッキング被害で580億円相当の顧客資産が流出した仮想通貨交換業コインチェックは13日、金融庁に業務改善計画を提出した。

 再発防止策や経営態勢の強化に真摯しんしに取り組まねばならない。

 世界に出回る仮想通貨の時価総額は、4000億ドル(約44兆円)に膨らんでいる。

 金融庁は昨年4月施行の改正資金決済法で、新たに仮想通貨を定義付けた。国がお墨付きを与えたかのような印象が広がり、国内の取引が急増した。

 代表格のビットコインは、昨年後半に日本円での取引が4割前後に上った。米ドルに匹敵する。

 金融庁は交換業者に対しても、厳格な審査が要る「免許制」ではなく、参入が比較的容易な「登録制」とした。こうした対応は世界に先駆けたが、判断に問題があったのではないか。

 金融庁は仮想通貨の取引実態について、国民への周知に努めることが大切である。

 仮想通貨は当初、低コストで世界中に送金できるメリットから、国境を超えたデジタル通貨としての利便性に注目が集まった。

 日銀など世界の中央銀行の間でも、デジタル通貨が金融システムに及ぼす影響などについての研究が相次いで始まった。

 しかし、現状では「通貨」の役割はほとんど果たしておらず、その呼称も誤解を招きかねない。

 本来の通貨は、三つの機能を満たす必要があるとされる。支払いに使える「交換手段」、値段としての「価値の尺度」、資産を蓄える「価値の保存手段」だ。

 現在の仮想通貨は、どの機能も極めて不十分だと言える。

 黒田東彦日銀総裁が、13日の衆院予算委員会で「仮想通貨ではなく仮想資産とも言われる」と指摘したのは、もっともだ。

 仮想通貨の基盤技術には、特定の大型コンピューターに頼らない「ブロックチェーン」と呼ばれるデータ管理手法がある。

 ブロックチェーンは、複数のコンピューターが共同で取引を記録・管理する。巨額の設備投資をせずに膨大なデータをやり取りできる点が強みだとされる。

 銀行送金や医療情報など幅広い分野に応用できよう。官民で連携して実用化を急ぐべきだ。