中国の海洋進出 腰を据えた対抗策が必要だ

 沖縄県・尖閣諸島周辺での活動を強化し、海洋権益の拡大を目指す中国とどう向き合っていくのか。中長期的な戦略の構築が求められる。

 中国の習近平政権が機構改革の一環として、尖閣周辺に公船を派遣している中国海警局を、国内の治安を担当する公安省の指導下から、軍系統の武装警察部隊に編入すると発表した。

 軍のトップは、習国家主席だ。「海洋強国」を実現するため、軍と海警局を統一的に指導、管理する体制を整えたのだろう。

 中国は、東シナ海に加え、南シナ海でも人工島の軍事拠点化など独善的な進出を続けている。地域の緊張を一方的に高める動きは看過できない。習氏には、不測の事態が生じないよう現場を指導する責任がある。

 日本政府が尖閣諸島を国有化した2012年以降、周辺水域での中国公船の監視活動が常態化した。現在も月2~3回のペースで領海侵入が続く。

 「主権」を主張するため、海空軍を含めた示威行為も活発化している。1月には、中国海軍の潜水艦が尖閣諸島の接続水域を航行したことが確認された。

 日中関係の改善の流れに水を差す行為に対し、政府は首脳会談などの場で、日本の立場を繰り返し伝える必要がある。

 日中両国は、尖閣を巡る対立で非軍事的な対応を基本としてきた。自衛隊や中国軍が出動すれば、偶発的な衝突につながりかねないためだ。日本は中国に、事態をエスカレートさせないよう、自制を求め続けなければならない。

 危機回避には、両国が自衛隊と中国軍の「海空連絡メカニズム」で合意することが欠かせない。前線で対峙たいじする海上保安庁と海警局の緊張緩和にも役立とう。

 同時に、日本が警戒・監視能力を向上させることが重要だ。

 尖閣周辺での監視活動に必要とされる排水量1000トン以上の船舶は、海警局の約120隻に対し、海保は約60隻と、大きく差をつけられている。

 海警局は、軍から退役艦艇の払い下げを受け、公船の武装化や大型化を進めてきた。国力を背景に増強を続けるのは間違いない。

 日本政府は、16年に「海上保安体制強化に関する方針」を定め、巡視船や監視拠点の整備などを加速させることを掲げた。着実に実施していきたい。

 海上保安能力を高めるため、装備取得などの長期的な目標の策定も検討すべきである。