エネルギー戦略 長期の安定供給をどう築くか

 化石燃料を輸入に頼る日本が、安定した電力確保の体制をどう築くか。課題克服に官民を挙げて取り組みたい。

 経済産業省の有識者会議が、2050年に向けた国の長期的なエネルギー戦略を取りまとめた。

 再生可能エネルギーを、電源構成に大きな割合を占める主力電源に育てるとしたのが特徴だ。

 温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定を踏まえ、50年に温室効果ガスの排出量80%削減という目標達成のため、再生エネ強化を打ち出したことは理解できる。

 再生エネの主流である太陽光や風力は、天候や時間帯によって出力が大きく変動する。現状では、安定供給の面から主力電源とするには不安が拭えない。

 長期戦略は、出力変動をならす方策として、再生エネに蓄電池を組み合わせた発電システムなどの実現を提言している。

 蓄電池の価格は高く、システムの発電コストは1キロ・ワット時当たり現状95円と、10円の原子力発電や石炭火力とは比較にならない。

 環境負荷を抑えつつ、電力を確実に届ける。両立は容易でないが、産学官の知恵で乗り越えたい。

 再生エネの中でも発電コストが低く、出力が安定している地熱発電や、木材チップを燃料とするバイオマス発電を効率的に活用することは有力な選択肢となろう。

 発電時に二酸化炭素を排出しない原発については、再生エネを補う有力な選択肢だとした。人材や技術の強化に直ちに着手するよう求めたことは妥当である。

 原発の再稼働の遅れで、原子力に将来性がないとして、電力会社や大学の人材育成に支障を来す事態となっている。

 原発の安定的運用のため、政府と電力大手が検討している原発事業の協業体制作りを加速していくことが欠かせない。

 政府は、長期戦略をベースに、今後10~20年の政策の方向性を示すエネルギー基本計画を改定し、今夏に閣議決定する。

 30年の望ましい電源構成比率は従来通り、原発を「20~22%」、再生エネを「22~24%」などに据え置く見通しだ。

 気がかりなのは、長期戦略の前提条件となるはずの30年の電源構成比率でさえ、実現できるのか、危ぶむ声が少なくないことだ。

 原発の信頼性を高めることや、再生エネの技術的な障害の解消を目指し、まずは政府が、足元の課題を一つずつ確実に解決していくことが重要となる。