同僚警察官射殺 こんな巡査がなぜ組織にいる

 警察への信頼を根底から揺るがす事件だ。言語道断である。

 滋賀県警彦根署の19歳の男性巡査が、殺人容疑で県警に逮捕された。彦根市内の交番で勤務中、同僚の41歳の男性巡査部長を背後から拳銃で射殺したとされる。

 使用したのは、公務のために貸与された拳銃だ。

 言うまでもなく、警察官の拳銃は、凶悪犯に対峙たいじするために託されたものだ。犯人の逃走を制するなど、極めて限られた場合にしか使用は許されない。

 市民を守るべき拳銃の銃口を同僚に向けた。前例のない事件だと言えよう。警察官としての自覚の欠片かけらも感じられない。

 巡査は犯行後、制服姿のままコンビニエンスストアに立ち寄って、口座から現金を引き出し、パトカーで逃走した。

 拳銃を持った警察官の逃走が、地域を不安に陥れた。県警が身柄を確保したのは、事件発生の約6時間後だ。巡査は途中で拳銃を捨て、パトカーも乗り捨てた。拳銃が第三者の手に渡れば、新たな犯罪を招く恐れさえあった。

 巡査は、昨年4月に警察官として採用された。今年1月、警察学校を卒業し、彦根署に配属された。3月からは、教育係を務める巡査部長と共に交番で勤務していた。「巡査部長から叱られたので、撃った」と供述しているという。

 自身が引き起こした結果の重大さを考えれば、あまりにも幼稚な動機に唖然あぜんとする。

 県警は、巡査の勤務態度に問題はなかったと釈明する。それでは、なぜ凶行に及んだのか。滋賀県の三日月大造知事が、鎌田徹郎・県警本部長に、真相解明などを求めたのは当然である。

 警察庁の栗生俊一長官は記者会見で、「厳正に対処し、規律の高い組織の構築に努めたい」と述べている。この機会に、全警察組織を挙げて、同様の犯行を生む土壌がないかどうか点検すべきだ。

 警察学校時代の巡査の生活態度なども検証する必要がある。厳しい団体生活を通じて、警察官に必要な知識や技術を教え込む場だが、適性が疑問視されるような行動はなかったのだろうか。

 結果として、巡査を採用したこと自体に問題があったと言わざるを得ない。県警の責任は重い。

 警察官の志望者は減少傾向にある。採用数を維持するために、選考基準を甘くすれば、不適格者が警察組織に入るケースが増えよう。優秀な人材をどう確保するのか、警察全体の課題である。