財政健全化計画 高成長の前提は楽観的過ぎる

 先送りを繰り返してきた計画を達成する環境をどう整えるか。楽観的な前提を排し、堅実な目標を粘り強く追求する姿勢が欠かせない。

 先進国で最悪の状態にある財政を立て直すため、政府は新たな財政健全化計画の策定に着手した。6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込む。

 国債に頼らずに政策経費を賄える状態を表す「基礎的財政収支の黒字化」について、達成目標を従来の2020年度から25年度に遅らせる見通しだ。

 黒字化計画は00年代初頭から掲げているが、17年度も赤字が18・5兆円に上った。リーマン・ショックや東日本大震災といった不可抗力もあったが、財政規律がおろそかになってきた面は否めない。

 新たな計画で、従来と同様に3%台という高い名目経済成長率を前提とするのであれば問題だ。

 高成長が続けば、大幅な税収増が期待できる。しかし、経済の地力を示す潜在成長率は1%程度にとどまる。継続して年3%成長を見込むのは非現実的だ。

 政府が国内総生産(GDP)の高い伸びを目指すのは理解できる。それでも、財政再建に関しては、手堅い成長率に基づいて税収を見積もることが信頼に足る計画の第一歩となろう。

 新計画は基礎的財政収支の黒字化に先立つ中間的な目標として、財政赤字の対GDP比を導入する方向だ。GDPが増えれば財政赤字の比率は下がるが、赤字そのものが減るわけではない。

 政府内には、19年10月の消費税率10%への引き上げや、20年東京五輪後の景気減速に備え、財政出動を主張する声が出ている。

 経済対策は費用対効果を十分に吟味することが重要である。

 歳出面で最大の課題は、高齢化で膨らみ続ける社会保障費だ。

 19~21年度の3年間の社会保障費の伸びを、計1・5兆円程度に抑える案が検討されている。16~18年度の抑制策と同じ水準だ。

 25年には団塊世代が全て75歳以上になり、医療・介護費の急増が見込まれている。

 経済的にゆとりのある高齢者には負担増を求める。公的保険でカバーする介護サービスなどの範囲を必要に応じて見直す。こうした改革の検討が避けて通れまい。将来的に更なる消費増税も視野に入れるべきではないか。

 持続可能な財政の確立には、税と社会保障の将来像に正面から向き合う必要がある。