奥山恵美子・仙台市長、「寝耳に水」の引退伝達

  • 市議らに引退の意向を伝え、市長室を後にする奥山市長(7日、仙台市役所で)
    市議らに引退の意向を伝え、市長室を後にする奥山市長(7日、仙台市役所で)

 仙台市の奥山恵美子市長(65)が今年7月の市長選に出馬せず、今期限りで引退する意向を固めたことが7日、わかった。

 同日、市長が市議会各会派の代表者らに伝えた。市長は8日に記者会見を開き、正式表明する見通し。3選出馬の見方が強かっただけに、周辺からは「寝耳に水だ」と驚きの声が上がる一方、これまで同市長選への立候補を表明した人はおらず、今後候補者選びが加速しそうだ。

 奥山市長は7日午前から、市議会の岡部恒司議長や自民、市民フォーラム仙台、公明、社民の各会派代表者らを個別に市長応接室に招き、出馬しない考えを伝えた。夕方、退庁する際に報道陣に囲まれた市長は、「私の今後の対応について今日は発言を控えさせていただく」とだけ述べ、足早に庁舎を後にした。

 市長と面会した複数の市議によると、奥山市長は不出馬の意向を固めた理由について「東日本大震災の復興事業にメドがついた」と語り、高齢の母親の介護についても触れたという。市では、次期市長の任期中に10年間の市政運営の方向性を示す「市総合計画」を策定することになっており、市長はこの点についても「自分が責任を負える年齢ではない」と話したという。

 奥山市長は秋田市出身で、東北大卒。1975年に仙台市役所に入庁し、女性企画課長や市教育長などを歴任した。副市長を務めていた2009年3月、前市長の梅原克彦氏の政治手法に反発して辞職し、同年7月の市長選で初当選。政令指定都市で初の女性市長として注目を集め、待機児童解消に向けた子育てや女性の起業・就業の支援などにも取り組んできた。

 東日本大震災後の復興に向けても陣頭指揮を執った。13年の市長選では、震災復興を最優先課題に掲げて再選を果たし、今年3月には市内のプレハブ仮設住宅の解体を終えたほか、防災集団移転の跡地・蒲生北部地区では土地区画整理事業による譲渡先の公募も始まっている。

 さらに、今年度予算にはかねて市政運営の柱に据えてきた「市民協働」を進めるプロジェクトを盛り込むなど、“奥山カラー”も打ち出していた。地下鉄東西線の沿線開発にも意欲を示してきた。

 最大会派の自民党の斎藤範夫会長は市長との面会後、報道陣に「3選出馬すると思っていたので大変驚いた。復興に大変尽力され、ほぼ成し遂げたことに対し感謝を申し上げた」と話した。各会派代表者には6日に市長側から面会を求める連絡が入ったといい、別の会派の市議は「今年度の予算組みや2月の施政方針演説から、続投を表明すると思っていた」と動揺を隠せない様子だった。

 市長選を巡っては、現時点で正式に出馬表明している人はいない。ある市議は「(奥山市長が引退の意向を固めたことで)パンドラの箱が開いた。様々な動きが噴き出してくる」と話した。