テレビ

「いい女」をネタにする女性芸人がウケる…なぜ?

テレビコラムニスト 桧山珠美

音楽にネタをのせる

【理由3】動画でも楽しい

 三つ目の理由は音楽だ。

 オースティン・マホーンの「Dirty work(ダーティワーク)」という楽曲が使われている。なんと、ブルゾンちえみ効果で、この曲がiTunesランキング(日本版)で11位に急上昇した。

 ブルゾンちえみは2月中旬、オースティン本人から、ツイッターのリプライで感謝のコメントが来たことを報告している。世界的ヒットになったピコ太郎の「PPAP」は、ジャスティン・ビーバーが紹介したのがきっかけだった。ブルゾンちえみとその周辺は、第二のピコ太郎になれるかもしれないと、息巻いているに違いない。

 「PPAP」もそうだが、特定の音楽を使用したネタは印象に残りやすい。そして、真似しやすく、宴会芸にもなりやすい。過去を振り返れば、「ヒロシです……」の自虐ネタで一世を風靡(ふうび)したヒロシも、ネタをやる際には必ず同じ曲がかかっていた。イタリア映画「ガラスの部屋」のテーマなのに、今ではすっかり「ヒロシのテーマ」のようになっている。

 定番となった音楽にネタをのせてしまえば、さほど面白くなくても、あらら、不思議と笑えてしまう。

オッケーバブリー!

  • (イラスト・小牧真子)
    (イラスト・小牧真子)

 ブルゾンちえみのライバルと言えば、昨年あたりから脚光を浴びる平野ノラだ。

 

 「オッケー、バブリー!」

 「鉄骨飲料持ってきて!」

 「光GENJIのテレカに穴あけたの誰よ!」

 

 バブル時代(1980年代後半~90年代初頭の好景気)に流行したモノやタレントをネタに人気となった。当時の「いい女」の代名詞だった、ロングソバージュ、太い眉、肩パッド入りのボディコンスーツは、今見てもインパクトが強い。肩に下げた巨大なショルダーフォンを手にとると、バブル時代にトレンディーとされたプロ野球選手や俳優の名前を挙げる。平野が意外な名前を口にするたびに、スタジオは笑いに包まれる。

 

 「しもしも~、石黒賢?」

 「ワンレン、ボディコン、舘ひろし!」

 

 現在、38歳の平野はバブルを体験していない世代だが、今のテレビのメイン視聴者層が40代後半~50代のバブル世代であることを強く意識している。当時を知る人に話を聞いたり、雑誌や映像資料を参考にしたりし、当時の浮かれっぷりや、ちょっと気恥ずかしくなるような振る舞いで視聴者の共感を得た。

 一方、バブルを知らない若者にしてみれば、時代錯誤なルックスは新鮮で面白いということだろうか。女子高生たちが電車の中で、「けつかっちん」や「おったまげー」などの言葉を口にしていると、聞いているこっちが苦笑いしてしまう。

 平野はネタだけでなく、トーク番組でも「クロマティのかんでたガムあげるわ」「チェッカーズの鶴久と寝たわ」などと絶妙な切り返しを見せる。荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」に合わせたキレのいい踊りもバブル世代には懐かしい。

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