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「いい女」をネタにする女性芸人がウケる…なぜ?

テレビコラムニスト 桧山珠美

フォロワーは600万超

  • 渡辺直美さん(茨城県石岡市で、2015年5月)
    渡辺直美さん(茨城県石岡市で、2015年5月)

 ブルゾンちえみと平野ノラが彗星(すいせい)のごとく現れたのに対し、すでに、人気を不動のものにした女性ピン芸人と言えば渡辺直美(29)だ。

 2007年にピン芸人としてデビュー。あの巨体(公式プロフィルでは身長157センチ、体重95キロ)を揺らせて、米国の人気歌手ビヨンセを完全コピーするという芸を披露した。

 すると、「和製ビヨンセ」「ブヨンセ」などと話題になり、当初は文字通り踊ってばかりいたが、その後、コント番組やトークバラエティーにも活躍の場を広げた。

 さらに、女優として、ドラマや映画にも出演するなどマルチな才能を発揮している。最近では、生命保険のCMで西島秀俊の妻役を演じるほか、BOAT RACE振興会のCMでは歌声も披露している。インスタグラムは、600万人を超えるフォロワー数で国内トップクラスを維持。大胆なポーズやファッションで公開される写真は、若い女性を中心に常に耳目を集める存在となった。

みんな、いつしか見なくなった

 男女問わず、爆発的な人気を集めた芸人は、「一発屋」のリスクを抱えることになる。

 SMの女王様キャラだったにしおかすみこ、エキセントリックな鳥居みゆき、流行語大賞にもなった「ダメよ~ダメダメ」の日本エレキテル連合……。みんな、あんなに人気者だったのにいつしか見なくなった。

 入れ替わりの激しいお笑いの世界で、生き残る女性芸人もいる。新体操のリボンを振りながら、「浅倉南、38歳です」と登場したいとうあさこ。トーク番組でも重宝されるようになり、レオタード姿から見事に“脱皮”を果たした。

 演歌歌手として別の顔も持つ友近、体当たりのリポートが人気のイモトアヤコも息が長い。

 2月28日に放送された“ひとり芸”のナンバーワンを決める「R-1ぐらんぷり2017」(フジテレビ系)では、勝ち残った9人と敗者復活の3人の計12人が決勝の舞台に立った。このうち、女性芸人は過去最多の5人。横澤夏子、ゆりやんレトリィバァ、石出奈々子、ブルゾンちえみ、紺野ぶるまが残った。

 このとき、意気込みを聞かれたゆりやんレトリィバァは、「『女芸人』って言われていますけど、私たちが芸人で、男の人が『男芸人』って言われるようになりたい」と答えた。

 その昔、ある女流作家が似たようなことを言っていたが、そんなことを考える女性芸人が登場したのは私としては喜ばしい。女性活躍推進の波がお笑いの世界に押し寄せているのかもしれない。女性芸人たちが、いい波を見つけて、うまく乗りこなせるかどうか。

 それでも、ブルゾンちえみはきっとこう言うのだろう。

 

 「……探さない。待つの」

プロフィル
桧山 珠美( ひやま・たまみ
 フリーライター、テレビコラムニスト。大阪生まれ。編集プロダクション、出版社勤務を経てフリーに。現在、「読売新聞・アンテナ」「日刊ゲンダイ」「GALAC」などでテレビ・ラジオ・放送メディアに関するコラムを連載。ギャラクシー賞CM部門選奨委員。

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