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朝ドラ「ひよっこ」に描かれる集団就職の実像は?

東北学院大学教養学部教授 片瀬 一男
 4月から始まったNHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」。東京オリンピックが開催された1964年、茨城県から集団就職で上京したヒロイン・谷田部みね子(有村架純)の奮闘ぶりを描く。今から約50年前、高度経済成長に沸く都市部で、中学を卒業したばかりの少年少女たちは「金の卵」と呼ばれ、労働力として期待された。その実態はどのようなものだったのか。社会学者の片瀬一男教授が解説する。

思い出します故郷の友が~♪

  • 「ひよっこ」のワンシーン。東京・上野駅で就職先の迎えを待つ少年少女(NHK提供)
    「ひよっこ」のワンシーン。東京・上野駅で就職先の迎えを待つ少年少女(NHK提供)

 朝の連続ドラマ「ひよっこ」は、高度経済成長を背景に集団就職する若者の群像を描いている。随所に当時の映像を登場させ、懐かしい昭和の雰囲気を醸し出す。

 大ヒットした映画「ALWAYS 三丁目の夕日」を思い起こされる方も多いだろう。この映画の主人公は1958年、青森県から集団就職で上京し、自動車整備の零細企業に入った。

 このように、集団就職といえば東北地方や北関東から、京浜工業地帯へと就職していった中学を卒業したばかりの少年少女の姿を想像するだろう。

 しかし、経済学者の加瀬和俊は著書『集団就職の時代』の中で、65年の中学卒業者の県外就職率を計算しているが、男子は東北地方が上位10位に一県も入っていない。県外に就職した男子中学生が多いのは、南九州や山陰地方で、東北・北関東地方は秋田県の12位が最も多く、青森県は22位、茨城県は20位だった。

 その意味では、昭和歌謡で集団就職を象徴しているのは、井沢八郎が歌った「あゝ上野駅」(64年)よりも、ペギー葉山が歌ってヒットした「南国土佐を後にして」(59年)の方が実像に近いと言える。

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