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朝ドラ「ひよっこ」が好評でも視聴率は残念な理由

テレビコラムニスト 桧山珠美

【その5】イケメン不足説

  • あかね荘の住人・大学生の島谷純一郎(竹内涼真)(NHK提供)
    あかね荘の住人・大学生の島谷純一郎(竹内涼真)(NHK提供)

 朝ドラといえば、ヒロインの相手役をはじめ、ヒロインの人生を彩る男性俳優(イケメン)も欠かせない存在だ。

 「べっぴんさん」の松下優也、「とと姉ちゃん」の坂口健太郎、「あさが来た」の玉木宏にディーン・フジオカ、「マッサン」の玉山鉄二に堤真一、「ごちそうさん」の東出昌大らイケメン俳優は注目度も高い。

 なのに、今回はどうだろう。リアリティーを優先させすぎてしまったのだろうか、「奥茨城」編では、おさななじみの三男(泉澤祐希)も住民たちも、人は良さそうだがイケメンとは程遠い。

 「向島」編になって、ようやく、合唱指導の先生(井之脇海)や同郷のお巡りさんの綿引(竜星涼)らが登場した。ところが、役柄のせいか、いずれも地味だ。これでは、イケメン目的の視聴者が離れても致し方ないだろう。

 ただ、そんな「眼福」に預かりたい視聴者に朗報だ。6月から、「仮面ライダードライブ」(テレビ朝日系)で主演だった竹内涼真が登場。古館伊知郎の長男・古館佑太郎も出演している。

 ここへ来て、相次ぐイケメンの投入。果たして視聴率を跳ね上げる効果となるか。

視聴率は噴火する!

 「ひよっこ」の脚本を担当する岡田恵和は、「ちゅらさん」(01年度上期)、「おひさま」(11年度上期)に続き、朝ドラ3本目だ。

 何げない台詞(せりふ)のやりとり、心にじんわりと染みるシーンの数々、笑いや涙のツボを知り尽くしている安定感……。そして、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」(05年)か、はたまた「新横浜ラーメン博物館」(横浜市)にも似た懐かしい街並み。山田洋次監督の映画「下町の太陽」(1963年)を彷彿(ほうふつ)とさせる空気感。桑田佳祐によるオープニング曲「若い広場」とそれに合わせて動くミニチュアの数々も話題になっている。

 これほど丁寧に作られたドラマは珍しい。本音を言えば、視聴率など関係ない。そんなものに惑わされることなく、脚本家には全力投球を続けてもらいたい。

 従来の朝ドラのパターンを取り入れつつも、新しい挑戦もある。

 ナレーションに起用されたのは、「細かすぎるマラソン解説者」でお馴染みの増田明美。いきなり、「増田明美です」なんて登場するからびっくりした。ヒロインの父親が失踪してからは、「お父さん、○○です」と、みね子の心の声の出番が多くなったが、これは倉本聰の「前略おふくろ様」へのオマージュだろうか。

 NHK木田幸紀放送総局長は4月の定例会見で、視聴率について、こんなふうに話していた。

 「火山にマグマがだんだん詰まって、グツグツといっていて、いずれ噴火する機会をうかがっているのが今かという気がしている」

 はたして、その時は来るのか!? 妙な爆発を起こして、視聴者が逃げ出さなければいいけれど。

プロフィル
桧山 珠美( ひやま・たまみ
 フリーライター、テレビコラムニスト。大阪生まれ。編集プロダクション、出版社勤務を経てフリーに。現在、「読売新聞・アンテナ」「日刊ゲンダイ」「GALAC」などでテレビ・ラジオ・放送メディアに関するコラムを連載。ギャラクシー賞CM部門選奨委員。

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