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「直虎」の視聴率低迷はやはり「女大河」のせい?

PRプロデューサー 殿村美樹

欲しいものにしか興味を示さない現代人

  • 米倉涼子さんが演じる女性外科医が人気の「ドクターX」(テレビ朝日提供)
    米倉涼子さんが演じる女性外科医が人気の「ドクターX」(テレビ朝日提供)

 1位 「ドクターX」(テレビ朝日系) 24.3%

 2位 「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系) 20.8%

 3位 「99.9―刑事専門弁護士―」(TBS系) 19.1%

 断トツは人気の医療ドラマ「ドクターX」。組織に属さないフリーランスの女性外科医が権力や名誉に見向きもせず、「私、失敗しないので」と自信満々に言い放ち、天才的な手腕で難しい手術を次々とこなしていきます。

 2位の「逃げるは恥だが役に立つ」は、キュートな主人公たちが話題となったラブコメディー。エンディングの明るく爽やかな「恋ダンス」は注目を集め、ドラマの人気を後押ししました。3位になった「99.9―刑事専門弁護士―」は、無罪を勝ち取るのが99.9%不可能とされる事件を、イケメンの弁護士がひっくり返すという胸のすく展開で楽しませてくれました。

 これで明白です。現代人はテレビドラマに、「痛快さ」や「明るさ」を求めているのです。多くの企業や組織で「男社会」が残っています。主人公が女性であれば、なおさら、「権力に立ち向かう」「常識を打ち破る」そして、「最後には勝つ」といったストーリーが求められるのでしょう。

なぜ痛快さが求められるのか?

 この現象は、インターネットの影響で「求めればすぐ手に入る日常」に慣れた現代人が、欲しいものにしか興味を示さなくなったことにも起因すると考えられます。

 10年前の2007年にiPhoneが登場すると、スマートフォンはあっという間に普及しました。私たちは、知りたい情報を手のひらの中で得て、どこにいても欲しいモノを注文できるという、以前なら想像もできなかった便利さを持ち歩くようになりました。拡散される情報は多くなっているように見えますが、LINEやツイッターといったSNSで(つな)がっている友人がシェアする情報しか見ないという若者も少なくありません。スマホには、興味のある情報だけを選択して表示してくれる機能もあります。

このため、いつしか、欲しいものにしか興味を抱かなくなってしまったようです。こうした傾向は、一層強まっており、今では「関心のない情報は見たくもない」という人もいます。

 そんな現代人がわざわざ時間を割いて、暗い気持ちになるドラマを見るはずもありません。浮き沈みを繰り返す波乱万丈ドラマなんてまっぴら御免で、自分と同じような立場の「無名の人物」が、「周囲に求められて力を持ち」、時の権力さえも倒してしまうといった痛快ストーリーに留飲を下げるのです。

 そう考えると、「直虎」はヒットの条件をほぼ満たしているものの、決定的なものが足りないことがわかります。

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