「秋元康の1分後の昔話」&「AKBギャラリー」

【秋元康コラム】デビュー曲に込めた思い

暗闇の後でやって来るもの

  • 画・石田千穂
    画・石田千穂

 仕事柄、真夜中に起きている。別に、書き物をするなら昼間でもいいのだが、家族も寝静まった家でパソコンに向かう時間は、なぜか仕事が捗る気がする。こんな時刻に起きている人間なんて数少ないだろう。真っ暗闇の中でポツンと明かりが点いているのは僕の部屋くらいにちがいない。何かこっそり秘密の作業をしているような……。次第に白んで来る窓の向こうの空を眺めるのも好きだ。眠ってしまうなんてもったいない。考えてみれば高校二年の頃から、かれこれ四十数年間もこんな生活を続けている。

 瀬戸内地方の七県、兵庫、岡山、広島、山口、香川、愛媛、徳島を中心に、船の上の専用劇場で活動する予定のSTU48のデビュー曲「暗闇」(1月31日発売)も、そんな環境の中で書いた歌詞である。インターネットの普及により情報はあっという間に拡散するので、各地でオーディションをしても参加者から昔のような地方色は出て来ない。どこにでもいるような今時の女子中学生、女子高生である。ところが、STU48のオーディションで合格したメンバーは、他のグループと比較すると、純朴に感じた。

 部活で真っ黒に日焼けしたコもいたし、健康的にパンパンに太ったコもいたし、お姉ちゃんのお下がりなのかサイズの合わない制服を着たコもいた。それでも、みんな、瀬戸内の太陽や風のように爽やかだった。土がついたままの産地直送の新鮮な野菜のようだとスタッフの一人は言っていた。

 こんな若者たちにメッセージしたいと思った。「君たちの未来は、いいことばかりじゃないかもしれない。現実は残酷だ。でも、よ~く見てごらん。素敵なことだってあるんだ。かっこ悪く生きることは恥ずかしいことじゃない。ジタバタしながら生きているうちに、何かが始まる」

 ちょうど、窓の外が明るくなって来た頃のことだ。僕は、アイドルのデビュー曲にはふさわしくないタイトルから書き始めた。

 「暗闇」(※)

 この歌詞を書き上げた頃、陽は差し込み、すっかり朝になっていた。

 (AKB48グループ、坂道シリーズ総合プロデューサー 秋元康)

 ※ 「暗闇」の歌詞は、2月25日付読売新聞朝刊・よみほっと日曜版第5面の「秋元康の1分後の昔話」をご覧ください。

  • 石田千穂
    石田千穂

石田 ( いしだ ) 千穂 ( ちほ )  15(STU48)

 各地でごあいさつ、ティッシュ配りなどと地道に頑張りました。「昨年11月にデビューする予定でしたが、3か月延期になりました。でも、その3か月がすごく大切だったと思ったので、その間に行われたツアーや握手会の絵を描きました」

清司麗菜 せいじれいな  16(NGT48)

 感情込めて歌う「れいにゃー」。自然の神秘に驚きました。「3rdシングル『春はどこから来るのか?』のMV(ミュージックビデオ)撮影の時、初めて絵に描いたような雪の結晶を見ました」

  • 画・清司麗菜
    画・清司麗菜
  • 清司麗菜
    清司麗菜