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「ブラックペアン」痺れる外科医…春の連ドラ座談会

 民放各局の春ドラマの放送がスタートしました。今期はラブコメディーから復讐(ふくしゅう)劇、海外ドラマのリメイクと意欲作ばかり。恒例の座談会では、一家言ある放送担当記者たちが各作品の初回を見て、熱く語ります。

  • さえないサラリーマン春田(田中圭、中央)を巡る男性同士の恋愛模様を描く「おっさんずラブ」
    さえないサラリーマン春田(田中圭、中央)を巡る男性同士の恋愛模様を描く「おっさんずラブ」

  今期の記者票1位は「ブラックペアン」。二宮和也さんがダークな天才外科医を演じています。

  ニノ版「ブラック・ジャック」で、手術シーンは映画並みの迫力。主人公の「心がない」感じが医療ドラマとしては異例で、しびれましたぞ。

  ニノは何を考えているかわからない役がうまいよね。とにかく、最後までドキドキしっぱなし!

  この重厚さはザ・日曜劇場って感じかな。出演者が段違いに多く、群像劇というより群衆劇。怒濤どとうの展開に引き込まれたよ。

  確かにキャストは豪華だが、医療ものが最近多いから既視感もあるな。

  2位は「家政夫のミタゾノ」、3位は「おっさんずラブ」。いずれもテレビ朝日の、エッジの利いた深夜ドラマです。

  松岡昌宏が女装する「家政夫――」はおふざけかと侮っていたら、いやいやどうして、癒やされました。

  (石)さん、つらいことがありました? 僕が思うには完成度の高いブラックコメディー。続編だけど、毒気の強さは健在。

  一方の「おっさん――」は、大まじめに振り切った演技で笑わせた。これぞ喜劇の基本だよ、基本。

  タイトルに負けないおもしろさでしたね。男同士の三角関係はいじらしくてキュンとしました。

  わたくしは「シグナル」に感心しました。韓国の大ヒット作のリメイク。坂口健太郎らの好演が光ります。

  登場人物の謎めいた過去って、海外の刑事ドラマにありがちじゃない。評価は今後の展開次第かな。

  「未解決の女」は女性バディー(相棒)ものだ。主演の波瑠と鈴木京香のほか、なぜかNHK朝ドラ経験者がこれでもかと出てくる。鈴木の変人ぶりに、見応えがあった。

  それでも京香さんには品がありますね。

  コンビはいいんだけどトリックが……。無理に「密室」にしなくてもね。

  変に事件に凝る必要などないのですよ。女性刑事2人の絡みは悪くないだけに、実に惜しいのです。

  「Missデビル」では、冷酷な人事コンサルタント役が菜々緒にぴったり。あの美貌びぼうとスタイルだから似合うんだろうけど。

  人事系ドラマなら「ヘッドハンター」もいい。林宏司さんの脚本は、働く人間のツボをグイグイ突いてくる。

  日本的しがらみの中で揺れる転職者を描く極上の心理劇だったね。男の僕でも、江口洋介の色気にはまいりそう。

  経済番組なら、よく取材したとほめたいが、ドラマとしては、やや単調だ。

  その意見に賛同いたします。ひねりがなさすぎて退屈しましたぞ。エンタメ作品としては、「Missデビル」の方を推したい。

  白熱してきました。後半戦も、ギアを上げていきましょう!

個性光る「崖っぷちホテル!」

  • 「崖っぷちホテル!」では、一流ホテルマンの宇海(岩田剛典)が老舗ホテルを復活させる
    「崖っぷちホテル!」では、一流ホテルマンの宇海(岩田剛典)が老舗ホテルを復活させる

  視聴率1位は「警視庁捜査一課9係」シリーズを継いだ「特捜9」。刑事の私生活も描かれ、長年のファンには、より群像劇が楽しめる内容になった。

  前作とつなげるためだろうけど、解散した9係のメンバーたちが再結集するまでの流れに、どうもこじつけ感が強くて。

  初めて見る人間にはわからないことだらけでした。扱う事件が無理筋なのは、このドラマに限ったことではありませんが。

  「正義のセ」は若手検察官を支える事務官役の安田顕がいい。こんな人にアドバイスしてほしいなぁ。

  検察官役の吉高由里子との掛け合いも魅力的だよね。それぞれ得意そうな役で、安心して見ていられる。

  安心とはほど遠かったのが、「あなたには帰る家がある」です。ちょっとしたことですれ違っていく夫婦がリアルすぎ、身につまされました。男性陣の意見が気になるところです。

  かつてホームドラマの定番は嫁しゅうとめ問題だったが、ここでは共働き夫婦の本音を描く。今の人には共感しやすいだろう。

  2組の夫婦を演じる芸達者4人のアンサンブルはレベルが高い。でも正直、妻と一緒に見る気はいたしません……。逆に、意外なほど楽しめたのは「崖っぷちホテル!」。群像劇コメディーとして期待大です。

  個性的なキャラクターが多く、初回はスマートな主人公がかすんでしまった印象があるかなぁ。今後の展開に期待。

  最初から、僕のハートをがっちりとつかんだドラマもあったよ。「モンテ・クリスト伯」の映像美と緩急つけた演出にやられた。

  西洋の古典の翻案は大こけすることが多いが、本作はスリリングな展開で見応えがある。

  「花のち晴れ」は前シリーズ「花男はなだん」ファンの期待も裏切らない。現実離れしたセレブの子女たちが出てくるから、かえってその世界に入りやすい。

  杉咲花さんら若手がのびのび演じていて好感を持ちました。視聴率が伸びなかったのが不思議です。

  「コンフィデンスマンJP」への評価も低すぎません? 古沢良太の脚本は、小気味よい会話や、二転三転する詐欺の仕掛けがたまらないのに。

  残念ながら私には、だましの手口の見当がついてしまいました。期待が大きかっただけに、辛口の採点といたしました。

  壮大な詐欺の仕掛けと、作り物感のあるセットとのギャップが大きすぎた。どうせなら「花のち晴れ」くらい豪華にしてくれればよかったのに。

  「執事 西園寺の名推理」は、執事ならではの知見で謎解きするわけでもなく、個性が見えん。上川隆也の執事は上品そのものだったが。

  ホント上品。でも、西園寺が推理する理由がわからない。

  見続けるうちに評価も変わるかもしれません。毎週、欠かさずチェックしていきましょう。