カンヌ国際映画祭2018

ブランシェット委員長、さすがの切り返し

カンヌ映画祭開幕、ゴダール監督が新作出品

  • 会場に掲示された「気狂いピエロ」の巨大ポスター(田中誠撮影)
    会場に掲示された「気狂いピエロ」の巨大ポスター(田中誠撮影)

 フランスのカンヌで5月8日夜(現地時間)、第71回カンヌ国際映画祭が開幕しました。最高賞パルムドールを競うコンペティション部門には、日本から、是枝裕和監督の「万引き家族」、濱口竜介監督の「寝ても覚めても」の2作品が出品されており、賞の行方に注目です。19日の閉幕まで、その様子を随時リポートします。(文化部 田中誠)

 今年のポスターはジャン=リュック・ゴダール監督の「気狂いピエロ」(1965年)のワンシーンを用いたもので、ジャン=ポール・ベルモンドとアンナ・カリーナがキスをしている、ポップでカラフルなデザインです。68年のフランスの五月革命に合わせ、既存の権威であるカンヌ国際映画祭を中止に追い込んだ中心人物が、ゴダール監督でした。それから50年。映画祭のポスターにゴダール監督の映画が採用され、コンペティション部門にもゴダール監督の新作が出品される。懐が深いというか、エスプリが利いているというか……。

「魅力的であることは、知的であることを排除しない」

  • 記者会見をするケイト・ブランシェットさん(右から2人目)ら審査委員の会見(田中誠撮影)
    記者会見をするケイト・ブランシェットさん(右から2人目)ら審査委員の会見(田中誠撮影)

 そんな中、開幕式の前に行われた審査委員の会見は壮観でした。オスカー女優のケイト・ブランシェットさんを委員長に、「ブレードランナー2049」のドゥニ・ヴィルヌーブ監督、アジアを代表する俳優チャン・チェンさん、米国の若手女優クリステン・スチュワートさんら有名人がずらり。ハリウッドのセクハラ問題の余波もあり、映画業界の女性差別に関する質問が目立ったのですが、ブランシェットさんは、「レッドカーペットをグラマラスなドレスで歩くのか」という質問に対し、「魅力的であることは、知的であることを排除するものではありません」とぴしゃり。コンペティション部門の21作品のうち、女性監督の作品が3本しかないことについて、もっと見たいしとしつつも、この3作品の監督は「女性だからではなく、作品の質が高いから、そこにいる(コンペ部門に入っている)のです」ときっぱり。会見はブランシェットさんの独壇場で、なんだか女王様に怒られているような気持ちになりました。

イランのファルハディ監督作品でオープニング

  • アスガー・ファルハディ監督「エブリバディ・ノウズ」©Memento Films
    アスガー・ファルハディ監督「エブリバディ・ノウズ」©Memento Films

 夜にはオープニング作品としてイランのアスガー・ファルハディ監督の「エブリバディ・ノウズ」が上映されました。舞台はスペインで、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムという同国の人気俳優が出演しています。ファルハディ監督というと、ベルリン国際映画祭の金熊賞受賞作の「別離」など、重く暗い映画を撮る社会派というイメージがありましたが、この作品は冒頭からしばらく、大家族の幸せな日常が描かれます。「あれ、作風を変えたのかな?」と思っていたら、中盤にやはり事件が起こり、家族の過去が暴かれていきます。家族間の不信感とかぎくしゃくした関係は、この監督のお家芸のようなもの。一見平凡な人生も、一皮めくれば映画のネタの宝庫ということでしょう。

写真で見る 第71回カンヌ国際映画祭