カンヌ国際映画祭2018

自宅軟禁中のセレブレンニコフ監督作品を上映

  • セレブレンニコフ監督の名のバナーを掲げるイリーナ・ストラシェンバウム、テオ・ヨーら(ロイター)
    セレブレンニコフ監督の名のバナーを掲げるイリーナ・ストラシェンバウム、テオ・ヨーら(ロイター)
  • 「LETO」
    「LETO」

 カンヌ国際映画祭は3日目。今日はうれしいことに、「これは!」という映画に出会いました。

 コンペティション部門に出品されているロシア映画「LETO」(キリル・セレブレンニコフ監督)で、1980年代の旧ソ連で伝説的な存在だったロック歌手ヴィクトル・ツォイとその音楽の師匠、その恋人(後に妻)を軸にした、恋と友情の物語です。モノクロのスタイリッシュな映像が特徴で、デヴィッド・ボウイ、ルー・リードら“西側”のロックの名曲が惜しみなく使われています。タイトルの「LETO」(ロシア語で「夏」の意味)は、ヴィクトル・ツォイが率いたバンド「KINO」の曲名。この曲が流れるエンディングは感涙必至です。共産主義国で反体制的なロックを追求することの難しさもそれなりに伝わってきますし、ツォイを演じているのが韓国人ということも、親しみを覚えた理由だったかもしれません。

 ところで、セレブレンニコフ監督は、予想されていた通り、カンヌには来られませんでした。2017年、映画の撮影中に詐欺容疑で逮捕され、現在も自宅で軟禁中。この逮捕を「政治的なもの」とする芸術関係者もいるようです。10日の記者会見では、映画祭がフランスの外務省を通じて、プーチン大統領に直接協力を依頼したものの、断られたことが明らかにされました。ロシアを出ることができず、会見に出席できないことが分かっているのに、卓上に監督の名札を置いておくあたりに、カンヌの強い姿勢を感じます。

「東京物語」4K修復版、海外観客の笑いどころも新鮮

  • 「東京物語」©1953/2017 Shochiku Co.,LTD
    「東京物語」©1953/2017 Shochiku Co.,LTD

 この日はまた、クラシック部門で、日本の小津安二郎監督の「東京物語」の4K修復版の上映がありました。「東京物語」は2K版が13年のベルリン国際映画祭で上映されていますが、修復を行った松竹の関係者によると、それに比べ、音が格段に良くなったそうです。正直なところ、私は違いが分からない男でしたが、海外の観客と一緒に見ると、けっこうな回数、しかも意外なところで笑いが起こるのが新鮮でした。こういう新たな発見があるのも、国際映画祭の楽しみです。(田中誠)

写真で見る 第71回カンヌ国際映画祭
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