政治

豊洲市場移転問題…「小池劇場」舞台は都議会へ

明大教授・元都副知事 青山佾
 東京都の小池百合子知事が、今年11月に予定されていた築地市場(東京都中央区)の豊洲(江東区)移転を延期すると発表した。この問題では、豊洲市場の地下空間で判明した「消えた土壌問題」も浮上した。誰が、なぜ、誰の指示に基づいて行ったのか、経緯や時期が判然とせず、謎は深まるばかり。“劇場型”政治をほうふつとさせる展開に、都民のいらだちも募る。9月28日から都議会も始まる。就任2か月にして、早くも正念場を迎えた小池氏が待ち受けるものとは? 元東京都副知事の青山氏が解説する。

移転延期問題から「空洞」問題へ

  • 定例記者会見に臨む小池知事
    定例記者会見に臨む小池知事

 11月7日に予定されていた築地市場の豊洲移転について、小池都知事が8月31日に延期を発表した時点では「延期の是非」「延期に伴う損失補償」「新たな引っ越しはいつになるのか」の3点が争点になるかと思われた。

 延期の理由は、<1>下水モニタリング調査の8回目の結果を待つべき <2>豊洲建設経費膨張の理由を解明したい <3>業者の不満や安全性についての情報公開が必要――の3点だったが、これらは選挙中の主張と同様だ。知事就任後ひと月の間に特段の新たな材料が出ておらず、延期理由が補強されたわけでもなかったので、争点は「延期の是非」とみられていた。

 しかし、この状況は9月7日、共産党都議団が「市場の地下を調査したい」と東京都に申し入れた時点で一変した。誰かが同党に通報したのが発端とも報道されている。

 小池知事は9月10日、土曜にもかかわらず緊急記者会見を開き、「盛り土」が主要な建物の下で行われていなかったことを明らかにした。そして、土壌汚染安全対策の検証を行う専門家会議を再設置する一方、なぜこのような事態になったか経緯を調査するよう都庁幹部に命じた。

 豊洲市場の建物地下が空洞になっていることは秘密ではなく、多くの工事関係者が知っていたようだが、それ以外の人は誰もが市場の敷地全体が盛り土されていると思っていたし、都のホームページ等でも同様の表示がなされていたから、今さら「空洞でも安全」と言われても事態が収まらなくなった。

 このようにして、当初は延期の正当性が問われるかと思われたが、空洞問題が当面の大きな争点となった。小池知事は延期表明の時点では実際の移転日時を決定するイニシアチブを確実に握っていたが、局面が空洞問題に移ったことで、移転日時の決定は先送りになった。