社会

意外と頼りにならない災害マニュアルの“落とし穴”

関西大学社会安全学部准教授 近藤誠司
 大災害への備えを検討する際、被災体験に基づいて導き出されたさまざまな教訓が重要な役割を果たし、広く継承されている。だが、そうした教訓を鵜呑みにするだけでいいのだろうか。マニュアル化した教訓がはらむ問題点について、災害情報や防災教育などが専門の関西大学の近藤誠司准教授に解説してもらった。

災害多発時代、教訓の重要性が叫ばれる中で

  • 地震で倒壊した建物(10月21日、鳥取県北栄町で)
    地震で倒壊した建物(10月21日、鳥取県北栄町で)

 地震、津波、豪雨水害、土砂災害……。日本列島を毎年のように自然災害が襲っている。その都度、経験した苦労や「あの時、ああしておけばよかった」という後悔や反省の気持ちが生まれてくる。それを踏まえて、備えや支援などさまざまな教訓が構築される。

 有名な徒然草の一文に、「少しのことにも、先達(せんだち)はあらまほしきことなり」とあるが、やはり未知の状況に直面した時、教訓は重要だ。教訓は私たちのよりどころであり、道しるべとなることは疑う余地のないもののように思える。

 だが、自然災害が多発する日本において、ここで一度、立ち止まって考えてみたい。果たして「教訓に従うべし」「教訓をひもとくべし」という命題は、自明の哲理と言えるだろうか。

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2016年11月24日 21時22分 Copyright © The Yomiuri Shimbun