生活

保活に異変? 首都圏で「自主退園」続出のワケ

読売新聞調査研究本部主任研究員 榊原智子
 4月から入る保育所を探す「保活」が今年も過熱している。首都圏では保育所の新規オープンが進むが、入所希望者も増大して狭き門が続く。問題は「入所難」だけではない。最近では、せっかく激戦を勝ち抜いて入れたものの、卒園を待たずにやむなく「自主退園」するケースも珍しくない。混迷の度を深める保活戦線の最新事情について、読売新聞調査研究本部の榊原智子主任研究員が報告する。

急ごしらえの保育所新設ラッシュ

  • 問題の背景には、絶対的な保育所不足がある(写真はイメージ)
    問題の背景には、絶対的な保育所不足がある(写真はイメージ)

 何十か所も保育所を見学して申し込んだのに、どこにも入所できなかった――。保育所利用者の情報交換や勉強会などを行っている「保育園を考える親の会」(東京、会員約400人)には、都内で足を棒にして保活に励んでも希望をかなえられず、涙をのんだ親たちの悲鳴が届く。

 母親たちの間で「0歳でないと入所できない」が常識になり、1年間の育児休暇取得を希望していた人も、入所枠を確保するために育休期間を短縮するケースが目立つ。「育休を1年も取っていては入れなくなる」という現状をセミナーなどで知り、「もっと長く赤ちゃんと一緒にいたいのに」と泣き出す若いママの姿もある。

 問題の背景に、絶対的な保育所の不足があることはいうまでもない。

 厚生労働省は、2016年4月の待機児童数を2万3553人と発表している。だが、特定の保育所を希望していたり、保護者が求職活動を休止したりしているため、この統計でカウントされていない「潜在的な待機児童」(隠れ待機児童)が3倍近い6万7354人に上るという実態も厚労省の調査で明らかになっている。

 こうしたなかで安倍政権は、13年度から17年度までの5年間に約53万人分の定員増を目指して、「待機児童解消加速化プラン」を策定し、計画的に保育所を増やす対策や、事業所内保育所を企業が開設しやすく支援する「企業主導型保育事業」など、あの手この手で保育の量的拡大を推進中だ。かつてない取り組みで保育所の整備が急速に進んでいるが、その一方、急激な待機児童の解消策が皮肉にも新たな問題を生んでいる。急ごしらえの新設ラッシュを背景に、認可保育所にせっかく入れた親子が退園していく「自主退園」の動きだ。

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2017年1月19日14:00 Copyright © The Yomiuri Shimbun