医療

私たちは他人の健康に「いくら」払えるのか

統計家、株式会社データビークル取締役 西内啓
 政府が閣議決定した2017年度予算案は、一般会計の総額で16年度当初予算より0・8%増の97兆4547億円となり、当初予算としては5年連続で過去最大を更新した。社会保障費が5000億円増の32兆4735億円に膨らみ、初めて32兆円台に乗ったことが響いた。一定以上の所得がある高齢者の医療費負担額の上限を引き上げるなどして、自然増を1400億円抑制したものの、焼け石に水の観がある。私たちは果たして、他人の健康にいくらなら払うのか。この分野に詳しい西内啓さんに統計家としての視点で分析してもらった。

日本人が認める「1年分の寿命」のコストとは

  • 日本の医療保険制度は個人負担が小さく受診しやすいのだが……(写真はイメージです)
    日本の医療保険制度は個人負担が小さく受診しやすいのだが……(写真はイメージです)

 昨年、糖尿病患者にかかる医療費が大きいことを過激な言い方で指摘をし、問題視されたTVキャスターがいた。

 その発言そのものの是非は置いておくとして、では現実として、他者の健康な寿命、1年あたりにいくらまでの公的負担を日本人は許容するのだろうか。このことについて、かつて実際に調査されたことがある。

 国立感染症研究所感染症情報センターの大日康史氏による調査の結果、回答者によって答えはばらつくが、その平均値は約600万円であり、(回答額を小さい順に並べたとき中央に位置する)中央値としては約100万円だそうである。

 つまり、かなり高額の医療費でも許容できるという人が少数ながらいたため、回答額の平均は約600万円までつり上がっているのだ。なお、回答者が高齢になるほどこの値は低く、一方で回答者が高所得になるほど高くなる傾向だったそうだ。