国際

米国は「シリア和平」のバスに乗り遅れるのか?

中東調査会上席研究員 高岡豊
 間もなく7年目に入るシリア内戦。アサド政権と反体制派の停戦合意を受け、今後の和平プロセスに世界の関心が集まっている。だが、昨年から主導権を発揮しているロシアに比べて、米国の存在感が薄い。トランプ大統領は「イスラム・テロ撲滅」を宣言し、ロシアに歩み寄りを見せるものの、シリア和平について当事者意識が高いとは言えない。米国の政権交代はどう影響するのか、中東情勢に詳しい高岡豊氏が解説する。

米国の“不在”

 米国でトランプ大統領が就任した直後、カザフスタンのアスタナでシリア内戦の当事者による和平協議が開催された。最終日の1月24日、停戦監視の仕組みを導入することを盛り込んだ共同声明が発表されるなど、一定の前進が見られた。ただ、この和平協議に米国の政府高官は出席しておらず、会合の開催や進行を主導したのは、ロシアやトルコ、そしてイランだった。

 この和平協議も含めて、昨年12月にシリア政府軍が北部の要衝アレッポを制圧した展開は、シリアやロシアが、米国は新政権発足まで大きな動きを取れないことを見越して進めたものと思われる。シリア和平に向けた協議の場としては、2月8日にスイス・ジュネーブで国連が主宰する国際会合が開かれる。これに米国がどんな姿勢で臨むのか、シリア内戦を対ロシア、対イランの関係でどのように位置づけるのか、会合に主導的な立場で参加できるのかが注目点となろう。


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