国際

対トランプ政権、習近平氏が持つカードとは

東京福祉大学国際交流センター長 遠藤誉
 トランプ米大統領は就任早々から大統領令を連発、論争を巻き起こしているが、外交の大きな課題である米中関係に関しては、まだ十分には方向性が見えてこない。中国の 習近平 ( シージンピン ) 政権側は対トランプ政権でどのような戦略を描いているのか。中国情勢に詳しい東京福祉大学国際交流センター長の遠藤誉さんに寄稿してもらった。

「一つの中国」で揺さぶり

  • 米国のトランプ大統領。対中政策がどういうものになるか、注目を集めている(AP)
    米国のトランプ大統領。対中政策がどういうものになるか、注目を集めている(AP)

 トランプ政権の骨格がようやく見えてきた。対中関係に影響を与えそうなキーパーソンは、レックス・ティラーソン国務長官、ジェームズ・マティス国防長官、国家通商会議(NTC)のトップに就任したピーター・ナバロ委員長、あるいはスティーブン・バノン大統領上級顧問兼首席戦略官らである。いずれも対中強硬派と見られる人たちだ。

 トランプ氏は就任前の昨年12月2日に台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統と電話会談をしただけでなく、同11日には米FOXテレビのインタビューで、台湾が中国の一部であるという「一つの中国」の原則に必ずしも縛られるものではないという趣旨の発言している。1979年に米中両国が国交正常化して以来、歴代米政権は「一つの中国」の原則に基づき対中政策を進めてきたが、そこから大きく逸脱する発言だ。

 環太平洋経済連携協定(TPP)離脱など、トランプ大統領は選挙期間中から主張してきた一連の公約を就任後に次々と実行に移している。それを考えれば、今後、どこかで「台湾カード」を使う可能性があることは十分に予測される。

 中国にとって「一つの中国」の原則は、絶対に譲れない最高ランクの核心的利益だ。こうしたトランプ政権に対して、中国はどう対応しようとしているのかを分析してみよう。

【あわせて読みたい】
『米中もし戦わば』…トランプ政権のアジア観を探る
キーワードで読み解く トランプ就任演説
「アメリカ・ファースト」を制御する
トランプ氏勝利、対米戦略を練り直す中国