社会

「天下り禁止」に異論・・・“ミスター文部省”が見た問題点

京都造形芸術大学教授 寺脇研
 文部科学省の元高等教育局長が退職2か月後に早稲田大学教授として再就職した事案に端を発した再就職あっせん問題。文科省が2月21日に公表した同問題の中間報告では、上智大や岐阜大への再就職あっせん行為など17件を新たに国家公務員法違反と認定し、違法認定は計27件となった。文科省は3月末に最終報告をまとめ、関係者の処分を行う方針。国家公務員法が「天下り」に規制を設けているのは、癒着の温床となるのを防ぐためだが、文部省(現・文科省)在職時代、“ミスター文部省”とも呼ばれたOBの寺脇研・京都造形芸術大学教授は「天下り禁止」に異論を唱える。その真意とは……。

「再就職規制違反」は厳然たる事実

  • 文部科学省の「天下り問題」を受けて記者会見する早大の鎌田薫総長(右)ら(2月20日)
    文部科学省の「天下り問題」を受けて記者会見する早大の鎌田薫総長(右)ら(2月20日)

 文部科学省の「天下り問題」が、連日世間を騒がせている。

 たしかに、国家公務員法が定める再就職規制に違反したという厳然たる事実は否めない。最初に指摘された高等教育局長の早稲田大学教授就任事案では、求職に省庁が直接関与すること、現職の公務員が求職活動を行うことの禁止事項2点に明らかに抵触しただけでなく、再就職等監視委員会に対して虚偽の説明を捏造(ねつぞう)した行為まであり、悪質との(そし)りを受けても仕方ないところだ。

 さらに、OBと人事課や最高幹部とが結託した再就職紹介ルートが明らかになり、多数の違反事案が暴かれたとあっては申し開きのしようがない。過去にも国土交通省、農林水産省などに違反事例があり、消費者庁に至っては他ならぬ長官自身が現職中に求職活動を行っていたのだが、いずれも個人レベルの違反行為にとどまっていた。文部科学省の場合、組織的と認めざるを得ず、痛手は極めて大きい。

 文部科学省OBの1人であるわたしとしては、後輩たちが指弾されている姿を見るたびに胸が痛む。10年以上前に54歳で中途退職した後もこの役所を愛し続け、おそらく本邦初の「文部科学省評論家」を自称して『文部科学省 「三流官庁」の知られざる素顔』(中公新書ラクレ)などという本を出しているだけに、今回の不祥事はわがことのように残念である。だが、法律違反は違反、猛省が必要だろう。

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