教育

就活生に足りない「キャリア教育」ってなんだ?

宇都宮大学教授 末廣啓子
 学生の就職活動を支援する大学キャリアセンターの活動が活発だ。エントリーシートの添削や模擬面接を行うのは当たり前。そこに至る「キャリア教育」が注目されている。入学と同時にキャリアガイダンスを開催し、企業経営者を招いたパネルディスカッションを行うところもある。その一つ、宇都宮大学キャリア教育・就活支援センターの副センター長、末廣啓子教授に、キャリア教育の持つ意味をつづってもらった。

  • (写真は、イメージです)
    (写真は、イメージです)

 宇都宮大学で「キャリア教育」に携わって10年が()つ。それ以前は、厚生労働省でさまざまな雇用・失業政策の企画・実施に関わってきた。バブル崩壊、そして「失われた20年」を経て、経済・社会がグローバル化する中、企業経営も人の働き方も大きく変わりつつあることをいや応なく実感してきた。

 それだけに、いざ大学に来てみると、学生の多くがこうした変化を知らないまま社会に出て行くことに愕然(がくぜん)とした。企業が新卒に求める人物像と、学生の認識が乖離(かいり)するのも当然だ。まずは、学生に社会や企業の実態を正しく理解させることが重要だと感じた。

 私自身は大学卒業後、ごく短い期間だが、航空会社で働いた経験がある。男女雇用機会均等法が制定される10年も前のことだが、女性課長の活躍がマスコミをにぎわせていたその会社なら女の私でも男性同様に働けるだろうと期待して入社した。

 ところが、オイルショック後の景気後退で女性の新入社員だけ半年間、自宅待機させるという、今ならあり得ない展開に。ようやく出社してみたら、女性社員のキャリアパスは全くと言っていいほど見えなかった。管理部の末席で伝票書きをしながら「この先ずっとこの仕事をするのか……」と不安になり、散々迷った末、労働省(当時)に転職した。

 この話を今の学生たちに話すと、「信じられない」と同情される。たしかに労働法制は整備され、女性活躍推進が国策となった。しかし、いざ社会に出ると、女性の社会進出の問題に限らず、労働者にとっては問題だらけの状況に気づくはずだ。

 こんな筆者の視点から、大学生を相手に、私が本気でキャリア教育に取り組む理由を述べてみたい。

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