働く

日々疲れ果ててしまうのは「感情労働」のせい?

東京成徳大学准教授 関谷大輝
 あいさつをするだけなのに顔色をうかがわなきゃいけない先輩。印鑑をもらうたびに機嫌を気にしなきゃいけない上司。目をつけられないようにじっと黙っている会議……。実務以外のことでも心をすり減らす「感情労働」が職場を ( むしば ) んでいると言われる。感情労働とは何か。心理学者の関谷大輝氏に解説してもらった。

出勤前にため息ひとつ

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 「自動ドアが開くとき、意識的に深呼吸をひとつして……、いや、ため息をひとつついて、それから階段を上りながら、少しずつ気持ちを整えて、業務の開始に備えます」

 インタビューに応じてくれた市役所職員のAさんは、毎朝、仕事前にこのように心を落ち着かせるそうです。

 表情を明るくしたり、人当たりを良くしたりしようと心がけているAさん。その一方で、「この生活がいつまで続くんだろう」「ほかにいい仕事はないだろうか」と考えていると言います。

 福祉関係の職場で、担当するある高齢者が亡くなった時のこと。人の死という出来事にもかかわらず、Aさんは「これで、仕事が減る。よかった」と頭をよぎった、と打ち明けました。その表情には、深い疲労の色が浮かんでいました。

「感情労働」のせいかも

 あなたは、普段の仕事で「疲れ果てた」と感じることがありますか?

 もしかすると、それは「感情労働」のせいかもしれません。

 この言葉は、まだ一般的にあまり広く知られているわけではありません。しかし、近年は働く人の多くが「感情労働」に携わるようになっていると言われています。あなたも例外ではないかもしれません。

 では、「感情労働」とは何なのでしょう? 

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