経済

出店攻勢・100円ショップの利益を出すカラクリ

マーケティング戦略コンサルタント 青山烈士

自主企画商品を増やして仕入れ値を管理

 100円ショップ各社は、商品開発力も向上させています。メーカーとの共同開発によるプライベートブランド(PB=自主企画)商品の比率を高めることで、仕入れ値をよりコントロールしやすくしています。ちなみに大創産業は、45か国、約1400社のパートナーと商品開発を行っており、PBの比率は実に99%に達しています。

  • 業界2位のセリア
    業界2位のセリア

 もっとも、100円ショップはただ「安いものを大量に仕入れて売ればいい」というわけではありません。大切なのは、販売した商品全体をならした時、目標とする原価率(売り値100円に対する原価の割合)を実現することです。店舗には原価が30円のモノもあれば、95円のモノもあります。95円のモノばかり仕入れて大量に売ったとしても、当然ながら儲かりません。逆に、30円のモノばかりを仕入れていては、顧客に驚きや満足感を提供することが難しくなるでしょう。そこで、様々な原価の商品をバランスよく店舗に並べ、販売することが重要になってくるのです。

 品ぞろえについては、各社は膨大な販売情報からノウハウを蓄積しており、それが会社の成長を支えています。例えば、セリアでは、商品の販売データに基づいて、商品ごとに「お客様支持率」を算出しています。これは、いわば「その商品がどれくらい売れているか」を示す数値で、各店舗が全店平均の値と比較して高いか低いかを把握することで、店舗ごとに最適な品ぞろえを実現しているのです。

パート・アルバイトは「多能工」

 「人件費」については、パートやアルバイト主体で店舗を運営するのが基本的なスタイルで、これにより人件費を抑えています。正社員は店長1人だけという店舗も多いですし、2店舗掛け持ちで店長を務め、1店舗当たりの正社員数が0.5人というケースもあります。このような店舗運営を実現するために、各社はオペレーションの簡易化(業務の効率化)に取り組んでいます。

 例えば、ダイソーでは、売れて品数が減ると自動発注される省人化システムを採用していますし、セリアでは、経験の浅いスタッフでもマニュアルなしで簡単に操作できる発注端末を採用しています。こういった取り組みが、パート・アルバイト中心の店舗運営を支えているのです。

 また、100円ショップは、スーパーのように「レジ担当」「青果売り場担当」といった役割分担がなく、同じスタッフがレジ打ちも品出し(陳列)も清掃も発注も行う「多能工(マルチスキル)」が特徴です。例えば、スーパーのレジ担当者の場合、会計をする客がいなくて待ち時間が発生することもあるなど、常に稼働しているわけではありません。一方、多能工である100円ショップのスタッフは、レジが空いている時には品出しを行ったり、発注作業を行っていてもレジが混み出したらその応援に入ったりするため、稼働率が高く、少人数での店舗運営が実現できるのです。働くスタッフとしては、忙しくて大変な面もありますが、様々な役割を担い、責任ある仕事を任されることが、やりがいにつながっている面もあるようです。

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2017年4月19日09:00 Copyright © The Yomiuri Shimbun