経済

ソニーが売却したVAIO、「V字回復」のワケ

メディア局編集部・中根靖明

「技術力から新事業が染み出す」会社に

――小さな組織ならではの良さですね。

  • パソコンの製造風景。高い技術力には定評がある(長野県安曇野市=VAIO提供)
    パソコンの製造風景。高い技術力には定評がある(長野県安曇野市=VAIO提供)

 ソニーを離れてよかったのは、意思決定のスピードが上がり、社員の動きも早くなったことです。人員配置など、リソースの調整が素早くできます。一つのプロジェクトが立ち上がれば、5人ぐらいがさっと集まって仕事ができるようにしています。


――一時、東芝や富士通との事業統合も検討されましたが、結局白紙になりました。組織の強みを生かすためには、他社との事業統合よりも、独立独歩でやっていくのがよかったのでしょうか。

 私は複数の企業の再建を手掛けてきました。どこでもそうですが、まずは会社として安定させないといけない。そう考えた時、他社と統合しても(社員が)幸せにはなれないと考えました。EMSも含めて、技術力から新事業が徐々に染み出していくような会社にするのが理想です。


――250人の社員の大半は、現在もソニーや関連会社の出身者なのですか。

 いわゆるソニーや子会社出身の人が大半です。新しい技術者も増やしており、営業をやってもらうこともあります。今春は新卒の社員7人を採用し、うち6人が技術者採用でした。東京の大学の出身者もいますが、大半は長野、地元出身の学生です。


――地元の雇用にも貢献していくのですか。

 長野の企業ですし、雇用面で貢献したいという思いはあります。


――大企業では遠距離の転勤が付き物ですが、それがないのも魅力ですね。

 就任の時に社員に約束したのは、安曇野工場でビジネスを続けていくことです。本社も安曇野に残し、人も減らさない。実際に約束は守っています。


――よくメーカーで課題になるのは、技術を理解した営業担当者の不足です。意識して増やされているのですか。

 意識して増やしています。法人営業の場合は、カスタマイズ(設定変更)があります。「カスタマイズできますか、できませんか」とお客様に問われたとき、技術出身者でないと即応できません。製造現場も知っていて、様々なシチュエーションにも対応できます。ソフトやセキュリティー関連など、お客様の悩みにもその場で応えられ、解決できる。また、BtoBは指紋認証が必要だったり、特殊なセキュリティー性能を求められたりしますが、そうした(開発上の)課題も見つけて、次のモデルを作る際の参考にしています。実は最初、技術者に営業をやってもらうことに抵抗もあったんですが、聞いてみたら全員が「営業をやってもいい」と言う。みんなお客様の声、自分の開発した商品に対する反応を聞いてみたかったんでしょうね。

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2017年4月21日11:30 Copyright © The Yomiuri Shimbun