経済

ソニーが売却したVAIO、「V字回復」のワケ

メディア局編集部・中根靖明

経営再建は「シンプル」

――元々、物流や通信など畑違いの分野の企業を再建してこられましたが、ITは初めての挑戦でした。VAIOでも成功できたのはなぜでしょう。

  • 新型スマートフォン「VAIO Phone A」(VAIO提供)
    新型スマートフォン「VAIO Phone A」(VAIO提供)

 どんな会社にも、いいところと悪いところがあり、それらを早く見極められるかどうかがポイントです。日本のメーカーでは、「日本で製造するとコストが高くなるので海外で」となりがちです。そうではなく、会社の中を見渡して、(日本の)製造拠点が会社にとってどういう意味を持つのかということなどを、一つ一つ考えていく必要があります。まず(再建対象の会社に)入る前にいいところと悪いところをきちんと見極めたうえ、悪いところは直し、いいところは伸ばして発展させる。ある意味、非常にシンプルです。そのために、お客様の目線に立つことが大切です。一方で、ソニーから離れて自由になった部分もあるので、(EMSで)技術を売るようにしました。そこでまったく新しいものを作り出せることに気づいたんです。


――第三の事業の立ち上げを目指しているそうですね。

 今準備が進んでいます。VAIOの強みである「ものづくり」の技術から発展させた事業です。しかし、VAIOにはPC以外の販売機能やソフト開発機能などはないので、他社と提携したり、他社に出資したりして補完します。投資して一からやるより効率的です。ただ、中身はまだ具体的には言えない状況です。


――投資ファンドが発行済み株式の9割以上を握っていますね。

 目標は新規株式公開(IPO)、あるいはファンドではない企業に株主になってもらうことです。可能性は無限にある。とにかく、外から見ても「魅力的な会社」にならないといけません。一緒に仕事をしたいと思ってもらえる会社になるという意味です。「安定化」を進める段階は終わりました。


――今期も残り2か月ですが、前期より業績は伸びそうですか。

 増収増益は達成できそうです。業績は好調だと思います。PC、EMSの両方が引っ張る形です。


――4月7日に、新しいスマートフォンも発売しました。

 新型機「VAIO Phone A」は大変好評です。Windows10を採用し1年前に発売した「VAIO Phone Biz」と形状などは同じですが、Androidを搭載している。SIMフリーで、2枚のSIMカードを入れられる「デュアルSIM」機能などもあるうえ、価格も手ごろです。イオンや通信大手インターネットイニシアティブ(IIJ)などの携帯電話会社から回線を借りる仮想移動体通信事業者(MVNO)で取り扱っています。アルミニウムのボディーも洗練されており、頑丈さも売りの一つです。ビジネス向けのニーズには十分応えていると思います。防水機能などは搭載していませんが、次に発売する機種で検討します。


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プロフィル
大田 義実(おおた・よしみ)
 1976年、一橋大商学部卒、ニチメン(現双日)入社。ブラジル現地法人社長などを歴任し、2004年に双日常務執行役員。双日ロジスティクス副社長を経て、通信機器のサンテレホンや化学材料のミヤコ化学などで社長を務めた。15年6月から現職。64歳

2017年4月21日11:30 Copyright © The Yomiuri Shimbun