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時間の問題?日本男子が100mを9秒台で走る日

読売新聞大阪本社運動部 平野和彦
 陸上男子100メートルで9秒台の期待がかかる桐生祥秀とケンブリッジ飛鳥が、5月13日に上海で行われた「ダイヤモンドリーグ」に出場。1998年アジア大会(バンコク)で伊東浩司さんが日本記録の10秒00をマークして以来、日本のスプリンターたちは、幾度も「10秒の壁」に阻まれてきた。しかし、今季は春先から9秒台に迫る記録が続出している。悲願達成の可能性を探った。

向かい風じゃなければ…

  • 織田記念の男子100メートルを10秒04で優勝したものの、9秒台が出ずに悔しがる桐生(2017年4月29日、吉野拓也撮影)
    織田記念の男子100メートルを10秒04で優勝したものの、9秒台が出ずに悔しがる桐生(2017年4月29日、吉野拓也撮影)

 今年3月、オーストラリアの競技会でいきなり、日本選手による好記録が相次いだ。

 今季初戦にもかかわらず、桐生が10秒04を出せば、山県亮太も負けじと2レースで10秒06と10秒08の好タイムを並べた。4月に入ると、ケンブリッジが米国の大会で5.1メートルの追い風参考記録ながら9秒98を出した。

 桐生は9秒台を狙って4月29日の織田記念(広島)に参戦。京都・洛南高3年だった4年前に、日本歴代2位の10秒01をマークした験のいい大会でもある。山県とケンブリッジが不在とあって、レースそのものは快勝だった。しかし、タイムを見た瞬間、桐生は天を仰いだ。向かい風(0.3メートル)では日本最高記録となる10秒04だったが、またしても望んだ9秒台には届かなかった。

 このレースの15分ほど前に行われた女子のレースでは、記録が公認される上限の2.0メートルの追い風が吹いていた。もし、桐生がその条件で走っていれば、10秒の壁を突破した可能性は高かった。

 それだけに、桐生はレース後、「急いでいるわけじゃないけど、(9秒台を)出せる時に出したい」と複雑な表情を見せた。指導にあたる東洋大の土江寛裕コーチも「あの瞬間だけ向かい風になった。ちょっと(スタート時間が)ずれていれば違う結果になった」と悔しさを隠せなかった。

 昨夏のリオデジャネイロ五輪男子400メートルリレーで銀メダルを獲得した桐生、山県、ケンブリッジの3人は、いつ「10秒の壁」を突破してもおかしくない状況にいる。その中でも、9秒台が出る条件を最も満たしているのが桐生だ。

男子100メートル日本歴代10傑
記録 名前
1 10秒00 伊東浩司 1998
2 10秒01 桐生祥秀 2013
3 10秒02 朝原宣治 2001
4 10秒03 末続慎吾 2003
山県亮太 2016
6 10秒07 江里口匡史 2009
7 10秒09 塚原直貴 2009
高瀬慧 2015
9 10秒10 ケンブリッジ飛鳥 2016
10 10秒11 川畑伸吾 2000

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