経済

「てるみくらぶ」のような格安ツアーはもう限界?

近畿大学経営学部教授 高橋 一夫
 格安ツアーで若者を中心に支持を集めていた旅行会社「てるみくらぶ」が3月、破産申請した。旅行者が個人でインターネットを介し、ホテルや航空機を予約するのが当たり前となったことで、旅行会社は岐路に立たされている。今後、旅行業界はどうなっていくのか。旅行最大手JTBで勤務経験のある高橋一夫教授が解説する。

人件費削減で成長

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 格安海外旅行会社「てるみくらぶ」(東京都渋谷区)が3月27日、東京地裁に破産申請し、手続き開始の決定を受けた。負債総額は151億円に上る。8万~9万人の客が旅行の中止に追い込まれたり、現地で宿泊代を請求されたりするなどのトラブルに巻き込まれた。

 2016年9月期の決算では約75億円の債務超過に陥っていた可能性も指摘されており、それを隠して、破産手続きに入る直前まで旅行予約を受け付けていたことや、新卒の採用募集をしていたことなどは、悪質の(そし)りを免れない。

 「てるみくらぶ」は、同社会長の益永高吉氏によって設立されたアイ・トランスポート社がリテール専門の旅行会社向けに「さわやかツアー」のブランド名で、ツアーの卸し販売をしていたことが始まりとされている。この時点では、リテーラーと呼ばれる旅行会社が顧客であり、消費者への直接販売を主なモデルとはしていなかった。

 01年に「てるみくらぶ」の商品ブランドで、ハワイ方面のパッケージ旅行の24時間オンライン予約を開始したことから、消費者への直接販売が本格化していく。

 05年には別会社だった「てるみくらぶ」(1998年設立)にオンライン販売部門を移し、ハワイを中心にグアム・サイパン、韓国、台湾などの一都市滞在型海外パッケージツアーの販売を主な事業として展開していった。

 インターネットによる直接販売は、大手旅行会社と比較して取り扱い数は10分の1であっても、社員数は50分の1ですみ、コスト面で優位性が発揮されるはずだった。

 にもかかわらず、消費者の支持を集める「格安ツアー」が、なぜ立ち行かなくなったのか?

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