経済

パソコン市場に「復活」の足音?

BCN総研チーフエグゼクティブアナリスト 道越 一郎

「OSサポート終了」が後押し?

  • 量販店では、比較的画面が大きいノートパソコンが売れ筋という(東京・有楽町のビックカメラ有楽町店で)
    量販店では、比較的画面が大きいノートパソコンが売れ筋という(東京・有楽町のビックカメラ有楽町店で)

 一方で、新たな買い換え需要を生み出したのはOSの「サポート終了」だ。PCはインターネットに接続して利用するのが当たり前になっており、更新プログラムの配布などのサポートがなくなったOSを使い続けると、ウイルス感染や情報漏洩(ろうえい)のリスクが大きく高まる。このため、消費者はMSのサポートがあるうちにPCを買い替えるようになった。

 しかし、サポート終了は強制的にOSの乗り換えを促す。結果として、ギリギリになって買い換えを決断する消費者が多く、短い期間に売り上げが集中しやすい。店舗側は、強烈な反動でその後の売り上げが激減してしまうというジレンマを抱える。

 これは、11年7月のテレビの「地デジ化」と同じ構図だ。テレビの地上アナログ放送終了を控え、アナログにしか対応していないテレビだけを持っていた消費者が、一斉に地上デジタル放送対応テレビに買い替えた。「安定していて、できがいい」と高く評価され、愛用者も多かったWindows XPのサポートが14年4月に終了することになり、その直前の13年秋頃から買い替えの動きが活発化して、市場は「ミニバブル」のような状況になった。その反面、反動も深刻でバブルが崩壊するとあっという間に冬の時代を迎えた。

 今回は、4月にWindows Vistaのサポートが終了したことも、売り上げの底上げにある程度貢献しているとみられる。今年2月から3月にかけて、量販店では、Windows VistaがインストールされたPCが下取りに出されるケースが目立ったという。

 しかし、Windows XPのサポート終了時に比べれば影響は限定的のようだ。07年にリリースされたVistaは「動作が重い」と評判が非常に悪かったためだろう。さらに、08年頃によく売れた5万円前後の格安ノートPC(ネットブック)は、ウェブサイトの閲覧などの用途に特化し、本体のスペック(性能)も低く抑えられていたため、動作が軽いXPを搭載した製品が大半で、結局Vistaのユーザーはあまり増えなかった。

 

 現在の主流となっているMSのOSは、15年に提供が始まったWinodws 10だ。16年夏までに2回の大型アップデートがあり、「安定感」が増したと評判は上々で、さらに、今年4月には3回目の大型アップデートがあったこともPCの売り上げに貢献しそうだ。Winodwsはどのバージョンも、2回目の大型アップデート以後、安定して使えるようになるとの「定説」がある。最近になって、これまでWindows 10の導入を見送っていた企業などが、新しいパソコンに入れ替える動きも目立ち始めているようだ。

 現在、店頭で売られているノートPCの9割近くがWindows 10搭載機種に切り替わっている。Windows 10がアップデートを繰り返したことで、トラブルが減り、店舗側も自信を持ってすすめることができるようになったため、消費者も安心して買えるようになったのだろう。

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