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なぜ会社の研修は役に立たないと言われるのか?

人材・組織開発コンサルタント 真田茂人

【理由2】すぐに役立つ学びはない

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 「たった1週間で○○が身につく」

 「たった3日で仕事がデキるようになる」

 書店をのぞいてみると、こんなタイトルの本が平積みになっているのを目にすることがよくあります。しかし、実際すぐに身につく学びなど世の中には存在しません。

 先に述べた「5ステップ」を見て分かるように、研修を受けて、やっと「知る」⇒「分かる」の壁を登っても、その先はまだ長いのです。

  こう言うと、「だから研修は役に立たない」と言われてしまうのですが、それは誤解です。正しくは、研修が「役に立たない」のではなく、「学びというものは時間がかかる」ということです。

 研修によって、「知る」⇒「分かる」の壁を登ることで、スタート地点に立つことができたのです。ここから必要なのは継続学習です。

【事務局ができる対策】

 それでは、研修を生かすにはどうしたらいいでしょう?

必ず継続学習を企画することです。フォロー研修を数回にわたって実行したいところですが、それには、限界があるでしょう。

 ですから、研修という形式にとどまらず、学習の機会を作ることです。具体的な四つの方法を紹介しましょう。

 〈1〉事後課題を出す。

 〈2〉OJT(On the Job Training=現場で行う職業教育)の中に落とし込む。

 教育の本丸はOJTです。研修はあくまでスタートを切る役割です。職場で実践できるように、上司の協力を促すと良いでしょう。上司に必ず報告するようにして、フィードバックしてもらうようにルール化します。もちろん、上司が理解をしてないと、良いフィードバックはできません。上司用にフィードバックのガイドを示せるとよいでしょう。

 〈3〉実践したことを研修メンバーで定期的に共有する。

 実践を積むことで、何らかの成果は出ます。仮に満足のいく成果が出なくても、それを研究材料にさらに学びを深めることができます。共有する場合、受講者全員でもいいですが、4~5人の学習チームを作り、濃密に、定期的に共有することをお勧めします。この場合は、お互いに応援コメントを送り合うなどすると、さらに効果的です。

 〈4〉実践したことを発表する機会を設定する。

 部会などで研修の成果を発表することが決まっていれば、もう、やるしかありません。

【講師ができる対策】

 事後課題や実践報告に対して、コメントをしてあげると、受講者は勇気づけられます。

つまずいている点や誤解している点にもきめ細かくアドバイスをしてあげると良いですね。

研修の効果は運用次第

 「学び」は、一朝一夕では身につかないものです。だからこそ、継続学習まで含めて、計画的に運用することが必要です。「研修」は、あくまでその中のパーツであり、多くの場合「スターター・ツール」(始めの一歩を踏み出す道具)です。「役に立たないと」ハナから毛嫌いするのではなく、効果的に活用する方法を探ってみてください。

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プロフィル
真田 茂人(さなだ・しげと)
株式会社レアリゼ 代表取締役社長、 NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会 理事長。株式会社リクルート、外資系金融会社などを経て、現職。個人の意識変革を起点とした組織開発を強みとし、日本を代表する企業、官公庁などで多数の研修導入、講演実績がある。主な著書に「サーバント・リーダーシップ実践講座」(中央経済社)、「自律と『モチベーション』の教科書」(CEO BOOKS)など。