生活

実は、「確認」を繰り返すから「不安」になる

精神科専門医、専門行動療法士 原井宏明 
 電気を消したかどうか気になって仕方ない、鍵をかける時にガチガチと力を込める、ニュースで事件を知ると家族にも災厄が降りかかるのではないかと心配になる――。日常生活や仕事中に、ちょっとした間違いやミスが気になって仕方がない人がいる。マジメで慎重、清廉潔白と評価される一方、度が過ぎると生活や業務に支障をきたしかねない。なぜ、確認作業に迫られてしまうのか。精神科医の原井宏明氏がこうした「確認癖」について解説する。

やめたいのに、やめられない

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 まず、「確認癖」で悩んでいる人たちの声を紹介しましょう。

 「鍵やガスの元栓を閉めたかが気になって、外出するたびに気が重い。最近はスマートフォンで、撮影してから出かけるようにしている」

 「記憶力や理解力に自信がない、とにかく自分の判断だけでは不安。だから、いつも同僚や上司の承認を得てからでないと仕事にとりかかれない」

 「ニュースで企業の不祥事を見るたびに、自分も何かやらかしてしまうのではないかと心配になる」

 「寝る前に自己反省会をしてしまい、眠りたいのに、納得できるまで眠れなくなってしまう」

 「確認癖が出るときは神経も体も疲労してしまう。でもやめられない」

出かける準備に時間がかかる

 あなたの周りにも当てはまる人はいませんか。

 電気のスイッチを切ったり、鍵をかけたりするとき、一つひとつの行動に、「OK、OK」と声かけ確認をする人もいます。そればかりか、鍵をかけた後に、壊れるほどノブをガチガチと力を入れて回すこともあります。とかく、出勤前や終業時の準備に時間がかってしまいます。

 事件や事故のニュースを知ると、家族にも何かが起きるのではないか気になって仕事が手につかないと訴える人もいます。パソコンがウイルスに感染しているのではないか、客に渡した書類にミスがあるのではないか、傘が人に刺さったのではないか、車で人に接触したのではないか――。日常生活にありがちな、ちょっとした間違いやミスが気になって仕方がないという状態は、「加害恐怖」や「失敗恐怖」、「雑念恐怖」と言われます。

 石橋をたたいて渡るような慎重さ、ささいな失態も見せまいとする清廉潔白さは評価できる一方で、度を越すと、生活や業務に影響を与えかねません。実際、どのような問題があるのでしょうか?

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2017年6月1日06:01 Copyright © The Yomiuri Shimbun