生活

男性の知らない「女性脳」の秘密とは?

感性リサーチ代表取締役 黒川伊保子

女性脳は、共感で「最適解」を出す

  • 女性の話が理解できず、けんかになった人も?(写真はイメージです)
    女性の話が理解できず、けんかになった人も?(写真はイメージです)

 女性の会話や行動と、そこから得る知見をコンピューター上でシミュレーションしてみたところ、面白いことに気づいた。女性の脳には「プロセス指向」といって、ことの経緯から細かく「暗黙知」を見つけ出す特徴があるのである。

 暗黙知とは、ことばや記号では表現しにくい「知恵」や「センス」のことだ。女性は、ことの経緯を語りながら、その裏で、無意識のうちにそれらを見つけ出し、そこに潜む真実を見極めようとしている。トラブルについて話しながら、頭の中では「何が悪かったのか。その表面的な原因と、根本的な原因は?」「自分にできることがあったのでは」「今、何をすればいいのか」などと考えを巡らせる。とりとめもなく経緯を語るようでいて、実は女性脳が考えていることは、意外にも合理的かつ俯瞰(ふかん)的で、しかも謙虚である場合が多い。

 つまり、女の話は邪魔するな、ということだ。聞き手は、たとえ関心のないストーリーであっても「わかるよ。それで?」と、気持ちよく共感しているそぶりで聞いてあげればいい。話し終えた頃には、女性の頭の中では「最適解」が出ているものだ。「解」を得た女性は、すぐに立ち上がってするべきことをする。こういう女性の対話スタイルを、私は「プロセス指向の共感型モデル」と名付けた。

男性脳には共感する余裕がない

 一方、男性の脳には真逆の対話スタイルを好む傾向がある。名付けて「ゴール指向の問題解決型モデル」だ。最初に、結論や目的を知りたがる。ゴールから始めようとするのである。女性が好む対話スタイルとは、コミュニケーションの方向が逆なのだ。

 なぜか。一般的に男性の脳は、女性と比べ、「おしゃべり」に使えるワーク領域が小さい。男女の被験者におしゃべりをさせながら脳の電気信号を観察する実験を行うと、個人差はあるものの、対話のために使っている領域が女性脳の数十分の一しかないことが認められる。このため、男性にとって、とりとめのない長い話を漫然と受け取ることは難しい。「この話の目的はこれ」「ポイントは三つある」というように話を進めてもらうと、あらかじめ対話に必要な領域を確保しておけるので、領域からあふれてしまう「オーバーフロー」が発生しにくい。

 もちろん、これは、男性脳が劣っているという意味ではない。男性脳には、「おしゃべり」とは別の仕事があるのだ。男性脳は、「空間認知」の領域が休むことなく働いている。本人がぼんやりしているときでも、空間認知のための神経が活発に活動している。無意識のうちに、空間の広さを探り、ものの位置関係を確認し、さらに、ものの構造を見抜いているのだ。

 男性脳はその歴史的役割上、危険を察知したり、獲物を捕獲したりすることに()けている。このため、動いているものにでも、瞬時に照準が合うような機能を身につけていると考えられる。

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