文化

藤井フィーバー、指すだけではない将棋の楽しみ方

将棋ライター 松本博文
 14歳のプロ棋士、藤井聡太四段の快進撃で将棋界が沸いている。テレビのニュースやバラエティー番組で将棋の話題が取り上げられることも多くなった。「これを機に将棋のことを知りたいけれど、ルールは知らないし……」という人も、心配は無用。指し手の意味はわからなくても、楽しみ方はいろいろある。最近は、指さずに専ら観戦を楽しむ人たちも出てきた。将棋ライターの松本博文さんに、今風の将棋の楽しみ方を教えてもらった。

藤井四段、空前のフィーバー

  • 藤井聡太四段の快進撃は多くのメディアの注目を集め、将棋界にフィーバーを巻き起こしている(5月25日、東京都渋谷区の将棋会館で)
    藤井聡太四段の快進撃は多くのメディアの注目を集め、将棋界にフィーバーを巻き起こしている(5月25日、東京都渋谷区の将棋会館で)

 「羽生フィーバー以来ですかね。いやもう、それ以上かも」

 将棋関係者の間から、驚いたとも、あきれたともいった調子で、そうした言葉が聞かれるようになった。今の藤井ブームと比べられるのは、1990年代半ばに羽生善治が七冠を達成するかどうかが注目された時ぐらいだというのだ。

 6月10日。デビュー以来、連勝を続けてきた藤井四段は、ついに25連勝をマークした。藤井四段が登場する前には、デビュー以来負けなしの連勝記録は10だった。藤井四段の記録がいかに飛び抜けているのかは、数字を見れば一目瞭然であろう。

 歴代最多の連勝記録である28連勝は、今からちょうど30年前の1987年に神谷広志五段(現八段)が打ち立てた。「空前絶後」とも言われた大記録である。

 それにあと3勝と迫った藤井四段は、6月15日、順位戦C級2組で瀬川晶司五段との対局に臨んでいる。持ち時間6時間の長丁場の戦いで、勝敗が決するのは同日深夜あるいは翌日未明になる見込みだ。今後さらに連勝を伸ばし、新記録達成ともなれば、さらなるフィーバーが巻き起こるに違いない。

 藤井四段の活躍に端を発する将棋ブームはいまや、すさまじいものとなった。連日、テレビのワイドショーやバラエティー番組で、将棋に関する話題を目にしない日はない。

 規格外に有望な新人が出現すると、その分野が大きく注目されるのは、どの業界でも共通することだろう。

 しかし、今回の将棋ブームが、これほどまでに爆発的な勢いとなったのは、藤井四段という新しいスターのために、あらかじめ舞台が整えられていたから、という見方もできる。

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