国際

トランプ大統領は「第二のニクソン」になるのか

ジャーナリスト 松尾文夫
 トランプ政権がロシア疑惑で連日のように米メディアの追及を受けている。トランプ大統領の司法妨害疑惑も浮上し、トランプ大統領をウォーターゲート事件で1974年に辞任に追い込まれたニクソン氏になぞらえる見方も出てきた。トランプ大統領は「第二のニクソン」になってしまうのか。『ニクソンのアメリカ』などの著書があるジャーナリストの松尾文夫さんに聞いた。(聞き手 読売新聞メディア局編集部次長 田口栄一)

トランプ氏は「機会主義者」

  • ロシア疑惑を巡って連日のようにメディアの追及を受けるトランプ米大統領(AP)
    ロシア疑惑を巡って連日のようにメディアの追及を受けるトランプ米大統領(AP)

 トランプ大統領は特異な大統領です。経歴から言っても、軍歴がなく、公職に就いたり、議員になったりした経験もない。まず、その点がユニークです。

 また、ツイッターという新しいメディアをうまく使いこなしています。

 1960年、共同通信で入社から4年たった私が外信部に来て最初にした仕事が米大統領選挙でした。この時、テレビの討論会で民主党のケネディ氏が共和党のニクソン氏に勝った話はよく知られています。当時、まだ日本へのテレビ中継はなく、1週間ぐらい遅れて米国大使館に呼ばれ、映像を見せてもらったものです。

 米国では新しいメディアを制した者が勝ちます。戦時中はルーズベルト氏がラジオの炉辺談話で国民の心をつかみ、続いてケネディ氏がテレビで支持を広げました。

 トランプ大統領はツイッターで、非公式で責任はとらないものの、わかりやすい言葉でつぶやき、支持者を動かしています。トランプ大統領の支持者は彼に批判的な新聞やテレビを見ていないでしょう。ツイッターを見て、それを信じる層をトランプ大統領はおさえている。自分を大統領にしてくれた人に忠実な政治をやっているのです。

 三番目の特徴が、ニクソン氏と同じ「機会主義者」(オポチュニスト)であることです。私は69年のニクソン大統領就任式の取材後に、『孤独な群衆』で知られる社会学者のデービッド・リースマン氏にインタビューしました。その中で、リースマン氏はニクソン氏を「第一級の機会主義者」と高く評価し、「何かをやるかもしれない」と語っていました。ふたを開けてみれば、ニクソン氏は米中和解を成し遂げています。

 トランプ大統領も、何にとらわれることもなく、米国第一で「取引」をする。米国の利益になるなら、どんなことでもするわけです。

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