社会

「見た目」重視、生きづらい社会を変えるには

NPO法人「マイフェイス・マイスタイル」代表 外川浩子
 生まれつきアザがあったり、事故あるいは病気による傷、 火傷 ( やけど ) や脱毛に悩まされたりするなど、「見た目」の問題を抱えている人は全国に約100万人いると言われる。見た目をテーマにした本がベストセラーになるなど、とかく外見重視の今の日本を、だれもが生き生きと暮らせる社会に変えていくには何が必要か。この問題に取り組んでいるNPO法人「マイフェイス・マイスタイル」(MFMS)代表の外川浩子さんに聞いた。(聞き手・読売新聞メディア局編集部次長 田口栄一)

「見た目問題」当事者の言葉に感動

  • 「地面に落ちた水から芽が出ていくことが大事」(フォトグラファー・冨樫東正)
    「地面に落ちた水から芽が出ていくことが大事」(フォトグラファー・冨樫東正)

 ――作家の水野敬也さんが「見た目問題」の当事者9人にインタビューした『顔ニモマケズ』が話題になっています。外川さんはこの本とどのような形で関わったのですか。

 水野さんと一緒に作った感じですね。どなたにインタビューをするのかなど、企画も初めから一緒に考え、インタビューにもすべて立ち会いました。私たちが一番伝えたかったことを、水野さんに文章にしてもらえたと思っています。

 ――インタビューの中で、どんなやりとりが一番印象に残っていますか。

 たくさんありますが、中でも強く印象に残ったのは、顔の片側の筋肉や骨が除々にへこんだり縮んだりするロンバーグ病(進行性顔面片側萎縮症)の女性の言葉です。「覆水盆に返らず」ということわざを使いながらも、最後には「地面に落ちた水から芽が出ていくことが大事」と語っているんですね。彼女は幼いころに発症し、高校時代に受けた手術が失敗してさらに苦しんだわけです。地面に落ちても、その後に新しい芽が出るという考え方にはぐっときました。

 ――私は、顔に動静脈奇形がある女性の方が自分の子どもから「かわいい」と言われたところにほろりとしました。子どもはお世辞を言いませんから、100%そう思って言っているんです。

 そうですね。状況が思い浮かぶようで、私も読むと思わず涙ぐんでしまいます。

  • 子どもから「かわいい」と言ってもらえた(フォトグラファー・冨樫東正)
    子どもから「かわいい」と言ってもらえた(フォトグラファー・冨樫東正)

 ――読者の方からはどんな反響が寄せられているのですか。

 メールや手紙をくださる人もいますが、自分のツイッターやフェイスブックに直接、感想をアップしている人が多くいました。読むと、自分には症状はないけれど、外見にコンプレックスを感じている。でも、当事者の悩みと比べたら、何てちっぽけなことで悩んでいたのだろうと気づかされたとか、勇気をもらったとかいう内容のことが書かれていました。自分も含めて世の中が変わらなければならないと考えさせられた、とコメントしてくれた方もいて、それはすごくうれしかったです。

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2017年7月4日10:21 Copyright © The Yomiuri Shimbun