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中年『中だるみ社員』よ、やる気を取り戻せ!

青山学院大経営学部教授 山本 寛

中だるみ社員を生み出す問題とは

 中だるみ状態は一時的に「回復」することも多い。例えば、異動によって仕事や人間関係が変わる時だ。また、研修などで刺激を受けることがきっかけになることもある。中だるみ→回復→中だるみ→回復→…。実は、一般的な社員の多くが、このサイクルを繰り返している。

 それでは、なぜ回復できない「中だるみ社員」が発生してしまうのか。人は職歴が長くなるにつれ、異動や研修などの「変化」によるプラスの影響を受けにくくなる。その結果、異動などで一時的に中だるみ状態から戻ったとしても、企業側が求める業績水準には達しなくなるのだ。

 海外の大学の複数の調査から、こうした傾向は、性別、年齢、勤続年数、学歴などの「属性」による差も、組織の規模の大小や業種による差も少ないことがわかってきた。つまり、誰でもそうした状態に陥る可能性があるのだ。

企業側がやるべきことは?

 中だるみ社員を抱える企業側には、どんな問題があるのだろうか。

 まず、人手不足という問題だ。本来、企業は新人が毎年入社してくることを前提に、人材育成などのため、社員を計画的に異動させる。しかし、業績低迷に苦しむ企業や不人気企業は、当初の計画通りに採用ができずに人手が不足し、仕事に習熟した社員を同じ部署からずっと異動させられない。これにより「仕事の停滞」、つまり「マンネリ化」が進行することになる。

  • 就職活動で「自己分析」を余儀なくされるのも中だるみの原因?(写真はイメージです)
    就職活動で「自己分析」を余儀なくされるのも中だるみの原因?(写真はイメージです)

 さらに、入社前の行動にも中だるみ社員を生み出す原因が潜んでいる。就職活動における「自己分析」の広がりだ。企業は採用面接で「入社したら何をやりたい?」とか、「あなたは会社で何ができる?」などと具体的に聞くため、その対策として自己分析は必須とされている。

 この自己分析に注力するあまり、自分の適性や「やりたい仕事」を重視し過ぎてしまう結果、「仕事の内容」に強くこだわる人が増えた。こうした人は、入社後に希望したのと異なる仕事を割り当てられると、喜びを見いだせなくなり、やる気が出なくなり、中だるみになる可能性が高いのだ。

 仕事というものは組織や上司の都合が優先され、本人の意思が必ずしも反映されるわけではない。自分のやりたい仕事、能力を生かせると思う仕事にありつけるとは限らないのだ。これが結果的にモチベーションの低下につながり、中だるみ社員を生み出しているのなら、構造的問題とも言える。

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