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中年『中だるみ社員』よ、やる気を取り戻せ!

青山学院大経営学部教授 山本 寛

組織がとるべき「中だるみ」対策

 中だるみ社員を生まないために、企業などの組織側がすべきことは何か。

 まずは、「ジョブ・ローテーション(職場や仕事内容の変更)」の活性化だ。人手不足や、短期的な業績の維持を考えると、積極的に人を異動させることは難しいかもしれない。だが、中だるみ社員を生まないためには、一度「中だるみ」を経験した社員に再び中だるみになる余裕を与えないぐらい、ローテーションを速めたほうがいいだろう。

 それが「人を育てる会社」という評判につながり、採用にもプラスに働くはずだと筆者は考えている。家具販売大手のニトリでは、「同じ部署に5年もいたら化石になる」というトップの考えのもと、ほとんどの社員が長くても2~3年で別の部署に異動するよう人事を回しているという。

 人材公募制の導入も有効だ。新規事業に進出する企業が、担当部署の仕事内容を示して、「やりたい」と手を挙げるモチベーションの高い社員を募集する制度だ。「中だるみ予備軍」になっている社員が、公募をきっかけに、希望の仕事を見つけるチャンスが生まれ、予備軍から脱却する可能性がある。

 この公募制を導入するなら、上司を通さずに直接応募できる方がいい。上司の立場なら、仕事に慣れていたり、高いスキルを持っていたりする社員を囲い込みたいと考えるはずで、そんな上司からの「束縛」を防げるからだ。公募制が活発に行われている企業などでは、部下を育てられない上司のもとから、優秀な部下がどんどん去っていくという。つまり、逆に上司の真の能力や魅力が問われるようになるとも言える。上司の「管理職適性」のフィルタリングもできるわけで、別の面でも組織全体の活性化や停滞からの脱却に役立つだろう。

  • 副業を解禁するのも、「中だるみ社員」対策に役立つ?(画像はイメージです)
    副業を解禁するのも、「中だるみ社員」対策に役立つ?(画像はイメージです)

 そして、最近注目され始めているのが「副業の解禁」だ。これは、現在多くの企業が取り組んでいる「働き方改革」のテーマの一つだ。最近ではロート製薬が社員の副業解禁を発表して話題になった。

 普段の職場と違う環境で違った仕事をすることにより、違った価値観を知る→自分の持つ新たなスキルや能力に気づく→現在の仕事が変わらなくても、マンネリ感の打破と新たな仕事に挑戦する意識の向上につながる、というサイクルが生まれる可能性もある。

 そもそも、人がマンネリを感じずに働きがいを見いだし続けること自体が難しい。しかし、組織側が根気よく、次々と新しい刺激を与え続ければ、「中だるみ」から脱却させることもできるはずだ。

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プロフィル
山本 寛(やまもと・ひろし)
 青山学院大経営学部教授(人的資源管理論)。博士(経営学)。メルボルン大学客員研究員歴任。働く人のキャリアとそれに関わる組織のマネジメントの問題が専門。日本経営協会・経営科学文献賞など受賞。『人材定着のマネジメント―経営組織のリテンション研究』(中央経済社)など著書も多数。

  • 中だるみ社員の罠(日経プレミアシリーズ)
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