スポーツ

世界水泳開幕へ…池江璃花子ら高校生はここが違う

元競泳日本代表 萩原智子

小学生時代から最先端の指導を受ける

  • (今井選手)
    (今井選手)

 10代女性スイマーたちの活躍は、身体的な特徴や精神力だけのたまものではない。育成も大きく影響している。

 池江と牧野、そして今井は、2008年にスタートした日本水泳連盟競泳委員会の強化プラン「エリート小学生研修合宿」に参加していた。全国ジュニアオリンピックカップで活躍した小学生のスイマーを招集し、トップアスリートが集う国立スポーツ科学センター(JISS、東京都北区)で短期合宿を行うものだ。

 最先端の施設で、科学委員による水中映像の撮影やトレーナーによる身体測定などが行われる。客観的なデータを示すことで、選手たちが自身の現状を把握しやすくなる。そして、長所と短所を明確にすることで、課題を再認識し、今後の強化につなげることができるのだ。20年の東京五輪に向け、体力面でのレベルアップはもちろん、精神面や生活面を中心としたマナーやルールなども重視して研修が行われてきた。

 具体的には、「大きな声での挨拶(あいさつ)や返事、時間厳守、素早い行動、周りへの気配りや心配り、チームワークの大切さ、健康管理、意思表示ができること」といった点だ。ジュニア時代からこうしたことを目的に掲げ、人間的にも魅力的なトップスイマーになるために必要な言動を伝授しているのだ。

 引退した五輪メダリストたちもジュニア選手へアドバイスを送る。現役選手たちも時間を見つけて、小学生たちに声をかける。ジュニアの選手にとっては大きな刺激になる。

一発勝負に強くなる意識付け

 日本水泳連盟競泳委員会が行った「ジュニアSS育成合宿」にもこの世代は参加してきた。SSとは、スーパースイマーズの略。リオ五輪、東京五輪に向け、若手の育成を目的に2015年から行われている。合宿は10月から翌年の6月まで、ほぼ毎月実施している。

 テーマは「基本を正しく大切に」である。泳法の基本、トレーニングの基本を重視する。あわせて、研修会を行い、コーチと選手の理論的なレベルアップを図ることも目的の一つとしている。

 対象は中学、高校生。日本水泳連盟が定めた強化指定選手となれる記録(ナショナル標準)を対象大会の決勝で突破するのが条件だ。日本代表選考会に似た「一発勝負」となっている。これは、決して偶然ではない。将来の代表選考会を見据え、「一発勝負」で求められた結果を確実に残す厳しさ、大切さをジュニア時代から意識付けしているのだ。

 普段は短水路(25メートル)の練習が中心の選手にとって、長水路(50メートル)で練習できるという利点もある。中学時代、短水路での練習が中心だった今井は「SSがあって、調子が良くなったのはあります」と話している。

 水中練習はもちろん、陸上で行うストレッチや体幹トレーニングについても、合宿後にそれぞれの所属クラブに戻ってからも継続的に行ってもらうため、正しい姿勢のレクチャーを受ける。それに加え、礼儀や挨拶などの指導も行い、一人の人間としての成長も促している。

【あわせて読みたい】
・書いて取った五輪メダル!松田丈志を鍛えた言葉の力
・マラソンも1万mも…「走る二刀流」大迫傑の進む道
・東京五輪へ…体操・内村航平「プロ化元年」の決意