経済

マツキヨが3位転落?ドラッグストア「戦国時代」の行方

店舗経営コンサルタント 佐藤昌司

マツキヨ、「爆買い」の恩恵

  • マツモトキヨシの店舗に押し寄せる外国人観光客(2015年、大阪市で)
    マツモトキヨシの店舗に押し寄せる外国人観光客(2015年、大阪市で)

 一方、マツキヨの状況はどうだろうか。マツキヨは創業者の故・松本清氏が1932年に現在の千葉県松戸市に「松本薬舗」を開業したのが始まりだ。51年に店名を「薬局マツモトキヨシ」に改称した。その後、マツキヨが世に知れ渡るようになったのは80年代後半から90年代半ば頃。それまでの薬局は、入りづらい雰囲気があったが、マツキヨはアメリカ流の明るく開放的な店舗づくりを導入し、かつての薬局のイメージを一新。消費者に絶大な支持を受けるまでに成長した。

 91年2月には東京・渋谷に「マツモトキヨシ渋谷センター街店」をオープン。2階の化粧品売り場には多くのファンデーションや口紅などをその場で試すことができる「テスティングコーナー」を設置し、試供品で化粧をする女性で(あふ)れかえっていたという。化粧品の豊富な品ぞろえや試しやすい雰囲気から、女子高生の間でマツキヨで化粧品を試すことが「マツキヨする」と言われるようになり、流行語になるなどの社会現象となった。そして、96年からはテレビCMを開始、「マツモトキヨシ」の名前は一気に全国へと知れ渡った。

 実は、マツキヨもこれまで積極的なM&Aで店舗網を広げてきた。17年3月末時点のグループの店舗数は1500店を超える。このうちの半数以上を占め、中核を担うのはもちろん「マツモトキヨシ」だ。都市部の駅前や繁華街を中心に大量出店し、働く女性らを中心に集客する戦略で業績を伸ばしてきた。こうした経緯もあり、マツキヨは売上高に占める化粧品の割合が高く、16年度も39%に上った。これはウエルシアの18%と比べてはるかに高い。

 さらに、都心中心の出店は近年の中国人観光客らによる「爆買い」の恩恵を受けることにもなった。観光客は都心部に集まりやすく、さらに14年10月には食品、飲料、薬品、化粧品といった消耗品などが免税対象に加わったことも追い風になった。都市部の店舗を中心に免税対応店舗を380店展開し、観光客の取り込みを図った。

 観光庁の調査では、外国人観光客の約7割がドラッグストアで買い物をしているという。免税手続きをして買う割合は、化粧品が医薬品などと並んで高い。マツキヨは観光客に照準を合わせ、化粧品を中心に売り上げを伸ばすことに成功した。

 しかし一方で、都市部中心の出店戦略がマイナスになっている面もある。都心の店舗は郊外店などと比べて売り場面積が限られ、処方せんを扱う「調剤窓口」を併設することが難しいからだ。実は調剤は、かなり利益率が高い。ウエルシアの16年度の品目別粗利益率を見てみると、調剤は37%と大衆医薬品の38%に次いで高く、化粧品の32%、家庭用雑貨の26%、食品の20%を上回る。また、調剤は健康保険による調剤報酬も得られ、さらに薬剤師の健康指導で、健康食品なども合わせて販売することができる。

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2017年7月19日05:20 Copyright © The Yomiuri Shimbun